燃料価格の高騰続く、ムンバイでは年初比2桁上昇

(インド)

ムンバイ発

2018年09月28日

世界的な原油価格の高騰やルピー安の影響で、インドの燃料価格が高騰を続けている。ムンバイ市内の価格(Indian Oilのウエブサイトより)は、ガソリンが2018年1月1日時点の1リットル当たり77.87ルピー(約125円、1ルピー=約1.6円)から9月23日には89.97ルピーに、軽油も1月1日時点の63.35ルピーから9月23日には78.53ルピーにまで上昇しており(図参照)、ガソリン価格は約15.5%、軽油価格は約24%値上がりした。また、ルピー相場も9月18日には過去最安値の1ドル=72.98ルピーをつけている。

図 ムンバイにおける2018年初来の燃料価格推移(1月1日~9月15日)

燃料価格の上昇は市民生活にも影響を及ぼしており、連邦議会およびマハーラーシュトラ(MH))州議会における最大野党の国民会議派(コングレス)は9月10日、同州を含めインド各地で抗議デモを行うことを発表していた。在ムンバイ日本総領事館からも注意喚起のメールが配信されたが、実際にはムンバイ市内の一部地域で公共交通機関が営業を停止した程度で大きな影響や被害は見られなかった。

前MH州首相でMH州コングレスのアショク・チャバン党首は、「2014年に原油価格が1バレル当たり110ドルまで高騰した際にも、ガソリン価格は1リットル当たり80ルピー、軽油は60ルピーだった。現在原油価格は1バレル当たり80ドルにすぎない(にもかかわらず高過ぎる)」と述べ、インド人民党(BJP)が担うMH州政府を批判した(「タイムズ・オブ・インディア」紙9月10日)。

同じくBJPが与党のラジャスタン州は9月9日、州税の燃料税(VAT)を低減することで燃料価格の引き下げを図ると発表した。一方、ファドナビスMH州首相は、州の財政的な問題から同様の手法は採らず、「想定される解決策は燃料を現行の物品サービス税(GST)に含めることだろう(注)」と述べるにとどめた(「タイムズ・オブ・インディア」紙9月10日)。ただ、GSTに含めるためには、中央政府と州政府の財務相で構成されるGST評議会で承認される必要がある。

(注)インド政府は2017年7月1日にGSTを導入し、旧法下のさまざまな州税および中央税がGSTに包含された。しかし、ガソリンやディーゼルなどの燃料、酒類など数品目はGSTの対象外となっており、旧法の付加価値税(VAT)などが引き続き課税されている。

(比佐建二郎)

(インド)

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