「一帯一路」構想5年、習国家主席が展開状況を評価
(中国)
中国北アジア課
2018年09月11日
習近平国家主席が2013年9月7日、中央アジア歴訪時にカザフスタンでの演説で「シルクロード経済ベルト」を提起してから5年の月日が流れた。2013年10月3日、ASEAN歴訪時に「21世紀海上シルクロード」を提起し、以後両者は「一帯一路」構想と呼ばれ、重要な国家戦略として展開されてきた。
その習国家主席が2018年8月27日、北京の人民大会堂で開かれた「『一帯一路』建設任務5周年座談会」で重要講話を行った。この5年で「一帯一路」共同建設を通じて中国の貿易・投資の自由化レベルが大きく高まり、沿海部、川沿いから内陸部、辺境地域まで開放地域が拡大し、陸・海路で国内外が連動、双方向の新たな開放局面が形成されたとその意義を評価した。また、「一帯一路」構想が「中国クラブ」を形成するものでなく、参加の意向があればどの国も参加可能な開かれたプラットフォームである点をあらためて強調した。
なお、国務院新聞弁公室で同日、「一帯一路」建設開始5年間の進展状況および今後の展望について記者会見が行われた。その際に「一帯一路」建設工作指導小組弁公室の寧吉●(吉2つ)副主任は以下の点などを成果として挙げた。
- 中国は103の国家・国際組織と118件の「一帯一路」関連の協力協議を締結した。
- 中国・パキスタン経済回廊(CPEC)の建設が順調に進展し、中国・ラオス鉄道、中国・タイ鉄道、ハンガリー・セルビア鉄道の建設が安定的に進められ、ジャカルタ・バンドン間の高速鉄道の一部区間の建設がスタートし、グワダル港(パキスタン)は全ての作業能力を既に備えた。中国と欧州を結ぶ国際貨物列車「中欧班列」の運行本数が2018年8月26日に累計1万本を超え、欧州の15カ国43都市につながり、コンテナ利用率は85%に達した。
- 2018年上半期までで、中国と「一帯一路」沿線国との貿易額は累計で5兆ドルを超え、中国から沿線国への直接投資は700億ドルを超えた。
- 中国は17カ国と「『一帯一路』融資指導原則」を確認した。法務リスクの防止・コントロールのため、「一帯一路」国際商事紛争解決メカニズム・機関の設立も開始した。
米中貿易摩擦が激化する中、中国にとって「一帯一路」沿線国などとの関係強化がより重要になっており、今後も取り組みが加速するとみられる。
(宗金建志)
(中国)
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