防災に日本企業が貢献、ジェトロ採択プロジェクト

(ルーマニア)

ブカレスト発

2018年09月05日

ジェトロは2018年6月、ルール形成を通じて海外の特定国の社会課題を解決するとともに新たな市場創出を図る日本企業を支援する「社会課題解決型ルール形成支援プロジェクト」を8件採択したが、そのうち唯一の欧州の案件が、チャレンジ(本社:東京都台東区)によるルーマニアにおける防災・減災プロジェクトだ。地震速報システムの分析などによる災害対応や避難訓練の制度化を通じ、当地の防災システムや製品などの市場創出を目指す。

周期的に大規模な地震が発生しているルーマニア。1977年3月のマグニチュード(M)7.2の地震では、数十万棟の建物が倒壊し、1,500人以上の死者を出すなど甚大な被害をもたらした。

2017年に政府は地震被害の危険性が高い建物の耐震補強などを含む行動計画を承認した。また、内務省緊急事態庁は、自然災害の予測・発生時に住民の携帯電話に警告メッセージを送信するアラートシステム「RO-Alert」を2018年中に導入する予定だ。

また、世界銀行グループの国際復興開発銀行(IBRD)は2018年に2つのルーマニアへの融資支援プログラムを認定した。1つ目は、災害リスク繰延引出オプション(CAT-DDO)付き災害リスク管理開発政策融資を含む包括的な支援で、6月26日に認定された。CAT-DDOは、災害発生時に対象国政府向けに迅速に流動性資金を提供するもので、融資総額は、2021年12月31日を期限として4億9,300万ドルに上る。2つ目は7月24日に認定された融資総額6,048万ドルの災害リスク管理政策に向けたもの。さまざまなタイプの災害に対応する35カ所の救援ステーションや緊急対応施設の機能強化、災害や気候リスクに対する知識やコミュニケーションの強化、リスク軽減のための長期計画などを支援する。同計画は9月以降、実施が見込まれている。

(ミンドル・ユニアナ)

(ルーマニア)

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