8月の失業率は3.9%、賃金上昇率は9年2カ月ぶりの伸び

(米国)

ニューヨーク発

2018年09月13日

米国労働省が9月7日に発表した2018年8月の失業率(注1)は前月と同じ3.9%で、市場予想(3.8%)を上回った(表参照)。就業者数が前月から42万3,000人減少したが、失業者数も4万6,000人減少した結果、失業率は変わらなかった。また、労働参加率(注2)は62.7%となり、前月から0.2ポイント低下した。

表 雇用統計(8月速報)の結果

失業期間が約半年(27週間)以上になる長期失業者が失業者全体に占める割合は、前月から1.2ポイント低下の21.5%で、2カ月連続の低下となった。また、適当な仕事がみつからずに職探しを断念した者や不本意ながらパートタイム労働に従事する者(経済的な理由によるパートタイム就業者)などを含めた広義の失業率(U6)は、前月から0.1ポイント低下して7.4%となった。7.4%は、2001年4月以来、17年4カ月ぶり。

平均時給は前月比0.4%増、前年同月比2.9%増に

8月の非農業部門の雇用者数の前月差は20万1,000人増と、前月に比べて増加幅が拡大した。なお、7月は15万7,000人増から14万7,000人増へ、6月は24万8,000人増から20万8,000人増へとそれぞれ下方修正され、6~7月計で5万人の下方修正となった。7月から8月にかけての雇用増減の内訳を主要業種別にみると、製造業が3,000人減と前月(1万8,000人増)から減少に転じたほか、娯楽・接客業が1万7,000人増と前月(3万2,000人増)から増加幅が縮小した一方で、対事業所サービス業、教育・医療サービス業がそれぞれ5万3,000人増、運輸・倉庫業などが2万200人増となり、前月(3万7,000人増、4万1,000人増、6,600人増)から増加幅が拡大した。

平均時給は前月比0.4%増(7月:0.3%増)、前年同月比2.9%増(7月:2.7%増)の27.16ドル(7月:27.06ドル)となった。前年同月比の伸びが2.9%に達したのは、2009年6月以来、9年2カ月ぶり。

投資銀行ジェフリーズのチーフエコノミスト、ウォード・マッカーシー氏は「労働市場は非常に良い状態」にあるとし、ここ数年の懸念だった賃金上昇率の伸びが大きかったことは「労働市場が正常化してきたことを最終確認するものだ」と述べた(ブルームバーグ9月7日)。一方で、現時点では経済の一部のみへの影響にとどまっているとみられるが、「最大の関心事は(トランプ政権による)関税(追加賦課)の影響だ」と指摘した。

(注1)失業率は、労働力人口(就業者+失業者)に占める失業者の割合。

(注2)労働参加率は、生産年齢人口(16歳以上の人口)に占める労働力人口(就業者+失業者)の割合。

(権田直)

(米国)

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