RCEP交渉、2018年内の実質的な妥結を再確認

(ASEAN)

シンガポール発

2018年09月05日

シンガポールで東アジア地域包括的経済連携(RCEP)閣僚会合が、8月30日から2日間の日程で開催され、2018年内の実質的な妥結を目指す共同声明を発表し、閉幕した。ASEAN経済相会合の議長を務めたシンガポールのチャン・チュンシン貿易産業相は9月1日、会合後の記者会見で、「7月に開催された、東京での閣僚会合およびバンコクでの事務レベル会合による合意への機運の高まりを加速させ、11月開催予定の首脳レベル会合で年内合意を目指したい」とした。

7月17~27日にバンコクで開かれた事務レベル交渉会合では、それまでに合意済みの「中小企業」「経済技術協力」に加え、新たに「税関手続き・貿易円滑化」「政府調達」の2分野が合意された。共同声明によると、今回の閣僚会合では、残された14分野の協議を継続し、「いくつかの分野で交渉が進展している」とした。また、詳細は明らかではないが、「年末の成果パッケージ」を採択し、年末までに目指すべき大まかな目標を設定した。

チャン貿易産業相は、米中貿易摩擦など保護主義の動きが高まる中、「自由貿易体制の維持および推進する」と強調した。ただし、妥結までの道のりを登山に例え、「頂上に近づくほど道のりは険しく、気を引き締めなければならない」とし、参加国が政治的な意思を持ち、現実的な交渉を進めるべきだとした。また、シンガポールのリー・シェンロン首相は8月29日、「交渉は重大な段階にあり、妥結まであと少し。参加国は長期的かつ柔軟性のある視野で臨んでほしい」と述べた。

(藤江秀樹)

(ASEAN)

ビジネス短信 b562f33c6ccc62af