ウォルマート、買い物代行サービスのスタートアップ買収

(メキシコ)

メキシコ発

2018年09月19日

ウォルマート・メキシコは9月13日、メキシコとチリで買い物代行サービスを展開するコーナーショップ(Cornershop)を米国のウォルマート本社が2億2,500万ドルで買収すると発表した。買収成立後、コーナーショップのメキシコおよび中米のビジネスはウォルマート・メキシコが担うことになる。

コーナーショップは、顧客がスマートフォンのアプリを通じてスーパーマーケット、ドラッグストア、専門店などの商品の中から買いたいものを注文すれば、登録された代行人(Shopper)が買い物を代行して宅配するサービスを展開するスタートアップ。メキシコとチリの3人の出資により米国サンフランシスコで設立された。メキシコではメキシコ市、グアダラハラ、モンテレイ、プエブラ、ケレタロ、レオンの6都市でサービスを展開している。注文できるのは237店舗の合計16万アイテムが対象で、1日2,000件を超え、90分以内に宅配しているという。

買収成立は連邦経済競争委員会(CFCE)など関係当局の承認を待つ必要があるが、9月13日付でウォルマート・メキシコとコーナーショップの業務提携が開始されており、メキシコ市、グアダラハラ、モンテレイのウォルマート傘下の全店舗の商品は、コーナーショップを通じて実店舗と同じ価格で購入することができるようになっている。

eコマース市場におけるアマゾンとの競争が激化

ウォルマートは2005年以降、高級住宅街に展開するスーパーマーケットのスペラマの商品を皮切りにeコマース市場に参入、サムズクラブ、ウォルマートなどオンライン販売が利用可能な店舗フォーマットを増やすとともに、宅配だけでなく実店舗の専用窓口で注文した商品を受け取れるサービスも展開している。ウォルマートは今回のコーナーショップ買収により、メキシコ国内の2,392の実店舗(8月末時点)や物流網などのインフラに、コーナーショップのサービスの利便性やオンデマンド対応能力が加わることによるシナジー効果が期待できるとしている(同社プレスリリース9月13日付)。

食品のオンライン販売市場においてはアマゾン・メキシコが8月30日、生鮮品を除く食品および飲料の同社ポータルサイトを通じた販売・宅配サービスを開始すると発表した。同社は2015年からコーヒー、茶、アルコール飲料などは扱っていたが、今後はより幅広い食品を扱うようになり、同分野におけるウォルマートとの競争が激しくなるとみられる。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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