中国工商銀行がオーストリアで銀行業務の免許を取得

(オーストリア、中国、セルビア)

ウィーン発

2018年09月10日

オーストリア金融監督庁(FMA)は8月29日、中国工商銀行(ICBC)の子会社であるICBCオーストリア銀行に対して、欧州中央銀行(ECB)が銀行業務の営業許可を与えたことを発表した。これにより、同行は証券、住宅金融、不動産ファンド、企業年金および両替を除く銀行業務の遂行が可能となり、ウィーンに支店が開設されるとみられる。

セバスティアン・クルツ首相は2018年4月の訪中(2018年4月27日記事参照)に際して、ウィーンに中・東欧統括拠点を設立する計画があるとするICBCの進出支援を明らかにするとともに、同行の進出によるウィーンの金融市場の強化、新規雇用の創出に期待を表明していた。

中国企業がセルビアで大型投資

現地複数メディアによると、同行のウィーン拠点ではリテールバンキングではなく、中・東欧における中国企業に対する大口の融資が主要業務になるという。中国企業による中・東欧における直接投資は限定的とされるが、セルビアでは最近、中国企業による大型投資案件がみられた。

タイヤメーカーの山東玲瓏が8月23日、セルビア北部のズレニャニン市に9億5,000万ドルを投じて製造拠点を建設することについて、同市と覚書を交わした。また、8月31日にセルビアのボール鉱山・精錬所の民営化に関する入札が行われ、中国の紫金鉱業集団が最低入札価格(3億5,000万ドル)を大幅に上回る、2億ドルの負債返済を含む14億6,000万ドルで落札している。

(鈴木秀男、エッカート・デアシュミット)

(オーストリア、中国、セルビア)

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