レジなしのコンビニ、サンフランシスコで開店

(米国)

サンフランシスコ発

2018年09月21日

レジ清算なしで品物を購入できるキャッシャー・レスのコンビニエンスストア「スタンダード・マーケット」が9月7日、サンフランシスコにオープンした。同店は、人工知能(AI)スタートアップのスタンダード・コグニション(Standard Cognition、本社:カリフォルニア州サンフランシスコ)が運営している(注)。

同社の技術は、店の天井に取り付けたカメラだけで画像認識をし、客が手に取った商品がかばんやポケットに入ったか、商品棚に戻ったかまでを見分けることができる。同社によると、商品棚へのセンサー設置や各商品へのRFID(無線ICタグ)添付、パッケージの変更などが必要ないため、導入が容易だという。客はあらかじめスマホ上の専用アプリでアカウントを作成し、来店時にアプリ上でチェックインをして買い物をすれば、店を出た後に自動で支払いが済み、メールで明細が送られる。なお、同社はプライバシー保護のため、顔認証など生体認証は行わないとしている。

同店は、近日中にフルオープンの予定だが、現時点では週2~3日に日時を限定してのソフトオープンで、入店は1人ずつ。開店2日目に当たる9月12日は、午後1~3時の2時間のみ開店し、店の前にはスタンダード・コグニションへの投資を考えているというベンチャーキャピタルや、AI企業の画像認識やディープラーニング分野で働く人らが店に入るために並んでいた。同社によると、1,900平方フィート(約177平方メートル)の店内の天井にあるカメラ数は27~29個。他方、「アマゾン・ゴー」の1,800平方フィート(約167平方メートル)の店舗には何百ものカメラが設置されている、との報道がある(「ファストカンパニー」誌電子版9月7日)。

スタンダード・コグニションは2018年7月に日本の一般用医薬品など卸大手のPALTAC(パルタック、本社:大阪市)と提携しており、パルタックの物流拠点とパートナー小売店舗にレジ無人化システムを導入するための研究開発と実証実験を進める予定だ。同社は日本進出に伴い、2018年6月に東京オフィスを設立している。

写真 天井に取り付けられたカメラ(ジェトロ撮影)
写真 店内の様子(ジェトロ撮影)

(注)同社の競合相手としては、レジなし店舗「アマゾン・ゴー」(サンフランシスコ未出店)を運営するアマゾンや、2018年8月に超小型(約17平方メートル)のデモ店をオープンした同じくサンフランシスコのスタートアップ、ジッピン(Zippin)などが挙げられる。

(田中三保子)

(米国)

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