モレノ大統領が訪日、首脳会談で租税条約や資金協力の共同声明

(エクアドル、日本)

ボゴタ発

2018年09月10日

訪日したエクアドルのレニン・モレノ大統領は9月5日、安倍晋三首相と会談した。共同声明では経済関係の強化について合意したと発表され、北朝鮮問題や核軍縮・不拡散への取り組みについても連携を強化する方針で一致した。

両首脳は主に以下について合意を表明した。

経済関係は次のとおり。

  • 租税条約について実質合意。
  • カカオ豆の対日輸出促進のための日本の技術ミッション派遣に合意。
  • 日本貿易保険によるエクアドル向け貿易保険の完全な再開。
  • 地デジ・情報通信分野(ICT)における協力覚書に署名。
  • エクアドル側は2国間投資協定の締結へ意欲を表明。

社会開発協力では、電力送配網インフラの整備へ7,000万ドルの有償資金協力を合意した。

国際関係については、次のとおり。

  • 北朝鮮の非核化に関する米朝間のプロセスを後押し。また、拉致問題即時解決の重要性を確認。
  • 核軍縮・不拡散、原子力の平和的利用への取り組みについて連携を強化。
  • 移民に関するグローバル・コンパクトの採択へ向けた共通認識を共有。

インフラ整備への資金協力は、日本からの約20年ぶりの供与となる。エクアドルでは中国主導による水力発電の開発が進められているが、地方などでは送配電網にアクセスできない世帯がいまだ多い。今回の有償資金協力は、送配電網の拡張・増強および省エネ促進プログラムを支援するため、米州開発銀行(IDB)との協調融資を実施するものだ。これにより、新たに1万6,680の世帯および輸出関連の産業に電力が行き届くようになり、省エネルギーの促進に寄与することが期待されている。

2018年は、日・エクアドル外交関係樹立100周年に当たる。2017年5月に大統領に就任したモレノ氏は、コレア前大統領の左派路線から政策を一変させており、自由貿易促進、対内直接投資の誘致など開放的な通商政策を推し進めている。モレノ氏は、企業団体の会合において総額320億ドルの投資プロジェクトを発表し、日本企業に対してエクアドルのポテンシャルを強調した。また、パブロ・カンパナ貿易投資相は、エクアドルがEUや欧州自由貿易連合(EFTA)と自由貿易協定(FTA)を締結していることを挙げ、日本とのFTAの締結にも意欲を示した。

(茗荷谷奏)

(エクアドル、日本)

ビジネス短信 90d75abe6ed7f33f