第2四半期のGDPは5.2%増に鈍化

(トルコ)

イスタンブール発

2018年09月13日

トルコ統計機構(TUIK)の発表(9月10日)によると、2018年第2四半期の実質GDP成長率は、ほぼ市場予測どおりの前年同期比5.2%となった。第1四半期の7.3%からは大きく鈍化したが、8月以降の通貨安の影響は反映しておらず、下半期にはさらに減速するとみられている。なお、名目値では20.4%増の8,840億400万トルコ・リラ(約15兆280億円、1トルコ・リラ=約17円)だった。

第2四半期の成長率は、前期同様に民間消費と政府支出に牽引されたが、投資は著しく鈍化した。トルコ経済は政府主導の建設プロジェクトや景気刺激策などによって成長を続けてきたが、通貨安やインフレの高騰が影を落とし始めている。なお、日数調整後では前年同期比5.5%、季節・日数調整後の成長率(前期比)は0.9%だった。

支出項目別にGDPをみると、約6割を占める民間消費は、前期の9.3%増を下回る6.3%増となった(表1参照)。また、民間投資を含む総固定資本形成は前期の7.9%増から3.9%増と半減した。他方、輸出は4.5%増と好調で、通貨安の影響で輸入が0.3%増に落ち込んだことから、外需(ネット輸出)はプラスに寄与している。

表1 2018年第2四半期の支出項目別実質GDP(2009年連鎖価格)

生産部門別にみると、サービス業(構成比22.7%)が8.0%増と成長を牽引した一方で、工業(22.0%)は4.3%増と減速ぶりが顕著だった(表2参照)。また、これまで成長を牽引してきた建設業(8.3%)は前期の6.6%増から0.8%増に落ち込み、農林水産業はマイナス成長(1.5%減)になるなど、冷え込みが見られる。

表2  2018年第2四半期の生産部門別実質GDPの内訳(2009年連鎖価格)

懸念される通貨安の進行

2018年初から40%以上減価しているトルコ・リラは、インフレ高進、内需抑制、経常赤字拡大の原因になっており、原材料を輸入に依存する民間企業の経営を悪化させている。8月の消費者物価上昇率は前年同月比17.9%となり、通年では20%を超えるとみられている。9月13日に予定されている中央銀行金融委員会で、市場の期待に沿う政策金利の大幅引き上げとなるか、加重平均金利(注)の利上げ誘導となるかによって、リラ相場は左右されよう。

ベラト・アルバイラク国庫・財務相は下半期の内需減速を真剣に受け止め、インフレ抑制と経常赤字縮小を優先課題としている。なお、各付け大手のフィッチ・レーティングスは、2018年の実質GDP成長率予測を4.5%から3.8%に、2019年を3.6%から1.2%増にいずれも下方修正している。

(注)中銀による市場流動性供給での加重平均金利(9月11日現在19.25%)が実質的な政策金利となっている。

(中島敏博)

(トルコ)

ビジネス短信 8cccc0bb305c961e