政府、財政緊縮型の2019年予算案を議会に提出

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2018年09月27日

ニコラス・ドゥホブネ経済相は9月17日、2019年予算案について下院予算委員会において説明を行った。アルゼンチンは4月から景気の下降局面に入り、6月にはIMFから500億ドルの融資枠が承認された。経済相が提案した財政緊縮型予算案は2018年末にかけて議論が展開される。

予算案では、2019年に収支均衡を達成させるとしている。規模は3兆7,212億6,100万ペソで(約10兆7,900億円、1ペソ=約2.9円)で、歳入は前年比41.8%増、歳出は24.5%増となっている。歳出を項目別にみると、電気や交通機関といった公共料金への補助金が6.9%減、地方州への交付金が17.5%減になっているのが目立つ。IMFからの融資を受けるに当たって、財政規律の維持が求められていることを背景に、足元の景気回復よりも財政の体質改善を優先することを反映した予算案となっている。

予算案では、2018~2019年の主要なマクロ経済指標の見通しも紹介されている(表参照)。実質GDP成長率は2018年がマイナス2.4%、2019年がマイナス0.5%と2年連続のマイナス成長になることを見込んでいる。一方、消費や投資も低調である中、通貨下落が追い風となっている輸出については大幅な増加を見込んでいる。

表 主要マクロ経済指標見通し

現地紙「クロニスタ」(9月18日)によると、現政権は上下両院とも少数与党だが、9月20日から始まる下院予算委員会の審議を経て、下院(257議席)では過半数の135票の賛成票が得られると見込んでいる。また、野党も予算案に批判的な姿勢を示すものの、IMFが重要視する財政規律を維持するための政策を妨害したくない意向もあり、棄権に回る可能性があるとしている。

(高橋栞里)

(アルゼンチン)

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