債務削減への対策求められるケニア政府

(ケニア、中国)

ナイロビ発

2018年09月26日

ケニアのウフル・ケニヤッタ大統領は、北京で9月3~4日に開催された第7回中国・アフリカ協力フォーラム(FOCAC)に、外相、財務相、国土交通相、貿易産業相ら閣僚を伴って参加し、4日には中国の習近平国家主席との首脳会談に臨んだ。同会談でケニヤッタ大統領は、2014年から中国の融資を受けて建設中の標準軌鉄道(SGR)の第2フェーズ建設にかかる約3,800億ケニア・シリング(約4,180億円、Ksh、1Ksh=約1.1円)のうち、半分を中国が負担するよう要請した。また、政府負担の削減のため、官民パートナーシップ(PPP)導入を提案した。そのほか両首脳は、高速道路開発に対する民間投資や人材育成にかかる覚書の締結、45億Kshの経済投資協力協定の締結に立ち会った。

SGRはケニアの物流や貿易の円滑化を進めた一方で、政府に巨額の借り入れを強いた。ケニア政府は既に開通したモンバサ~ナイロビ間358キロの建設のため3,240億Kshを中国から借り入れており、2022年までに利息を含む3,606億Kshを返済しなければならない。

SGRプロジェクトをはじめとする政府の大型公共投資は、債務残高の拡大を招いている。ケニア中央銀行の発表によると、2017年において、国債や借入金を含む政府の債務残高は過去最高の4兆5,600億Kshに達した。2018年上半期には約5兆Kshに悪化し、公的債務はGDP比60%に迫る勢いだ。2018年の借り入れに6兆Kshの上限を設ける草案が国会に提出されており、今後協議に入る。

ケニア政府は、2016年から延期していた石油製品への付加価値税(VAT)課税を9月1日に導入の予定だったが、製造業の停滞や消費の低迷を理由に経済界が反発している。仮にこのままVAT課税が延期になった場合、税収の減少が見込まれ、より厳しい財政状況が予想される。ケニア政府は今後も、巨額債務への対応策を求められそうだ。

(久保唯香)

(ケニア、中国)

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