ハンガリーで高まる若者の国外移住意識

(ハンガリー)

ブダペスト発

2018年09月07日

かつてハンガリー人は、土着性が高く、地元での生活・就労を希望するといわれたが、近年は若者を中心に英国やドイツ、オーストリアなど賃金の高いEU加盟国で働く人が増えている。中央統計局によると、2017年に国外移住したハンガリー人の数は2万6,957人で、2010年比で約4倍の水準に達した。

週刊誌「サンデーニュース(The weekly Vasárnapi Hírek)」(電子版8月27日)、若者層(18~29歳)の41%(前年調査では37%)が国外での就労を希望するという同誌の調査(期間:8月10~17日、回答者:998人)結果を示した。この比率は年齢が上がるほど減少し、30~44歳は30%、45歳以上では10%以下となっている。

移住を希望する主な理由として、「政治への不満」(24%)、「好景気の他の欧州諸国で高賃金を得たい」(22%)、「現在の低い賃金への不満」(16%)などが挙げられた。前年の調査では、最大の理由は賃金関連で、政治への不満の割合は低かったが、2018年はハンガリー国内の賃金上昇率が高く、国内の移民・難民が増加したことなどにより、政治への不満が最上位となったようだ。

「家族や身近な友人で過去5~10年間に国外に移住した人がいるか」との問いに対しては58%が「いる」と回答、その人数については6.9人(前年5.4人)だった。電気・電子分野など、高度な熟練技術を持つ人に移住の傾向が高いという。

ハンガリーの人口は1990年代以降、減少を続けており、最近の20年間では毎年3万~4万人ずつ減少し、現在の国民の平均年齢は1990年と比較して約5歳上昇している(図参照)。若年層の国外移住の増加により、国内での子供の誕生数の減少や現役世代の減少による年金制度への影響など、少子高齢化のさらなる進展が懸念されている。

図 ハンガリーの人口と平均年齢の推移

(本田雅英、オルマンディ・ジョルト)

(ハンガリー)

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