外資系教育施設の設立規制が改正

(ベトナム)

ハノイ発

2018年09月14日

ベトナムにおける教育分野での外国からの投資、協力に関する政令86/2018/ND-CP(以下、政令86号)が8月1日に施行された。政令86号は、(1)外国との教育・訓練分野での提携、(2)外国資本を有する教育施設の設立、(3)ベトナムにおける外国教育機関の駐在事務所の設立について定めたもので、これらについて規定していた政令73/2012/ND-CPは失効した。

ベトナムにおいて外国資本を有する学校を設立するには、原則として、(1)投資登録証明書の発給、(2)設立許可決定書の発給、(3)教育活動許可決定書の発給の手続きを踏む必要がある(添付資料1参照)。政令86号による具体的な手続き・条件については添付資料2のとおりで、従前からの大きな変更点は以下のとおり。

  • 物理的施設を建設せず賃貸することが認められた(従前は、20年以上の投資計画を持つ外国資本の教育施設は、物理的施設の建設計画を作成し、省級人民委員会から土地の割当てまたはリースに関する同意を得なければならなかった)。
  • 短期訓練・養成施設を設立する際の設立許可決定書の取得が不要になった(従前は、設立許可決定書の取得が必要だった)。
  • 外国資本を有する幼児教育施設・普通教育施設において、外国教育プログラムを学ぶベトナム人が、全体の50%未満であれば認められるようになった(従前は、外国資本を有する幼児教育施設において、外国人幼児に対する外国教育プログラムの実施しか認められなかった)。
  • 大学の設立に必要な最低投資資本額が3,000億ドン(約14億4,000万円、1ドン=約0.0048円)から1兆ドンに引き上げられた。

この数年、ジェトロ・ハノイ事務所には、日本の人材不足やベトナムの所得水準の向上を背景に、ベトナムで日本語学校や幼稚園、学習塾などの教育施設を設立したいとする企業からの相談が増加している。実際、日本からの教育分野への投資件数は2016年の9件から2017年は13件と増加している。しかし、手続きの不備でトラブルに発展するケースも生じており、政令86号を踏まえた慎重な対応が求められる。

(北嶋誠士)

(ベトナム)

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