「IFA2018」でスタートアップ企業がイノベーションを発信

(ドイツ)

ベルリン発

2018年09月21日

世界最大級のコンシューマーエレクトロニクス展「IFA2018」が8月31日~9月5日、ドイツ・ベルリンで開催された。開会式では、コンシューマーエレクトロニクス支援協会(gfu)のハンス・ヨアヒム・カンプ監査役会長、ミヒャエル・ミュラー・ベルリン市長(州首相に相当)、アンドレアス・ショイアー交通・デジタルインフラ相らが登壇した。主催者によると、1,814社・団体が出展し、成約額が見本市全体で47億ユーロに達するなど盛況だった。

中でも、スタートアップ企業が一堂に会する場として、2017年から設置された「IFA NEXT」には21カ国から125のスタートアップ企業が出展、前年以上に注目を集めていた。また、フランスのFrench Tech(フレンチテック)をはじめ、韓国グローバルイノベーションセンター(KIC)や香港貿易発展局(HKTDC)など各国の海外展開支援機関などが、地元のスタートアップと並んで存在感を示していた。

写真 French Tech(フレンチテック)の合同ブースの様子(ジェトロ撮影)

日本からは、5社がIFA NEXTに出展した。今回初出展のトリプル・ダブリュー・ジャパンは、2015年に創業したスタートアップ企業だ。同社は、超音波を用いてぼうこうの変化を捉えてスマートデバイスに排せつのタイミングを知らせる「DFree」を展示し、来場者から高い関心を集めた。同社ヨーロッパ支社長の浦部雄平氏は「10月のフランスでの販売開始や来年初めのドイツ、英国での事業開始を見据えて、IFAではディストリビューターやパートナーの発掘を目的に出展した。ジェトロの支援事業も活用している」と話した。同社は、官民が集中支援して成功モデルを創出する「J-Startup」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに選定されるなど、今後のさらなる海外展開が期待される企業だ。

写真 トリプル・ダブリュー・ジャパンが展示した「DFree」(ジェトロ撮影)

同じく初出展のソースネクストは、74言語対応の携帯型通訳機「POCKETALK(ポケトーク)」を出展。ボタンを押しながら話し掛けるだけで、指定した言語に訳して音声で返してくれる画期的な製品が、世界中の来場者から大きな関心を集めた。同社の担当者は「欧州のほか、オーストラリアやドバイ、南アフリカ共和国など世界中からディストリビューター候補が来場し、関心を持ってくれた。プレスも多数来場し、ドイツのテレビでも報道されるなど、今後に向けた効果的なPRの機会になった」と期待を示した。

写真 ソースネクストが展示した「ポケトーク」(ジェトロ撮影)

次回のIFAは2019年9月6~11日に開催される予定。なお、欧州のスタートアップ全般についてはジェトロ地域・分析レポートの特集「欧州に学ぶ、スタートアップの今」で紹介している。

(望月智治、増田仁)

(ドイツ)

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