第2四半期のGDP成長率はマイナス0.7%、2期連続のマイナス成長

(南アフリカ共和国)

ヨハネスブルク発

2018年09月13日

南アフリカ共和国統計局は9月4日、第2四半期の実質GDP成長率(前期比年率換算、季節調整済み)をマイナス0.7%と発表した(表1参照)。前期のマイナス2.6%に続くマイナス成長で、2期連続のマイナスは2009年以来。

表1  産業別GDP成長率(実質、前期比年率換算、季節調整済み)

産業別に実質GDP成長率をみると、農林水産業が29.2%減となり前期(33.6%減)に続き成長率を大きく押し下げた。主要穀物のトウモロコシなどの産地であるムプマランガ州でのひょう被害や、干ばつが長引く西ケープ州の果樹や花卉(かき)などの生産量が落ち込んだことが大きい。製造業は主に自動車および同部品生産の不振により0.3%減、運輸・倉庫・通信は旅客量の減少により4.9%減となった。他方で、鉱業はプラチナ類や銅、ニッケルの生産の回復により前期の10.3%減から4.9%増とプラス成長に転じた。産業別GDPの約2割を占める金融・保険・不動産業・企業サービスは、5期連続のプラス成長で1.9%増となった。

需要項目別にみると、民間最終消費支出は旅客、食品・飲料(アルコールを除く)、衣料品の個人消費低迷により、2016年第2四半期以来のマイナス成長で1.3%減となった(表2参照)。総固定資本形成も前期に続き建設工事、機械設備・機器および住居用ビルなどの設備投資が低調だったことを受け、0.5%減だった。「土地収用」問題をはじめとする政治の不透明性(2018年8月7日記事参照)が企業の投資手控えにつながったとみられる。政府最終消費支出は財・サービスの調達拡大により、5期連続のプラス成長で0.7%増となった。輸出は貴金属、鉱物性生産品および野菜の増加により、前期の17.4%減からプラスに転じて13.7%増となり、成長を押し上げた。

表2  需要項目別GDP成長率(実質、前期比年率換算、季節調整済み)

中国を訪問していたンフランフラ・ネネ財務相は「テクニカルリセッション(2四半期連続のマイナス成長)の発表に動揺すべきではない」と国民に呼び掛けた。しかし市場では、今回の発表を受けて財務省は10月に打ち出す中期予算方針の中で、財政赤字などの見通しの下方修正を迫られ、それに伴ってさらなる国債格下げの恐れがあるとの不安が広がり、発表当日に通貨ランドは前日比3%下落した。

(高橋史)

(南アフリカ共和国)

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