FOMCは政策金利を3カ月ぶりに引き上げ、2.00~2.25%に
(米国)
ニューヨーク発
2018年09月28日
米連邦準備制度理事会(FRB)は9月25~26日に連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し、政策金利であるフェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標を、1.75~2.00%から2.00~2.25%に引き上げることを決定した。利上げは6月(0.25ポイント)以来3カ月ぶりで、2018年に入って3回目。今回の決定は全会一致だった。なお、9月17日に就任したリチャード・クラリダFRB副議長は、今回会合から投票権を持つ。
FOMCメンバーによるFFレートの見通し(16人の委員メンバーの中央値)は、2018、2019、2020年がそれぞれ2.375%、3.125%、3.375%と、いずれも6月会合時点から維持された。1回当たりの利上げ幅を0.25ポイントとして、利上げ回数の見通しは、2018年にあと1回(3、6、9月を含めて計4回)、2019年に3回、2020年に1回となっている。また、今回追加された2021年は3.375%と2020年から変わらず、2021年以降は政策金利が据え置かれる見通しとされた。一方で、長期の見通しは3.0%と、6月会合時点(2.875%)から0.125ポイント引き上げられた。
金融政策スタンスは「依然として緩和的」との記述を削除
FOMCの声明は米国経済全般の現状について、「労働市場が引き続き力強さを増し、力強いペースで拡大を続けた」とし、前回から維持した。一方で、FF金利が、FOMCが長期的な均衡水準と考える中立金利(3.0%)に徐々に近づきつつあることもあり、「金融政策のスタンスは依然として緩和的」との記述を削除した。パウエル議長は、この変更は「金融政策がFOMCの期待どおりに進んでいること示す」もので、「政策の道筋が変化したことを示すものではない」と述べた。
同時に発表された2018年以降の実質GDP成長率、失業率、物価上昇率の予測中央値は、2018年と2019年のGDP成長率、2018年の失業率がそれぞれ前回から0.1~0.3ポイント引き上げられ、物価上昇率は2018年、2019年の個人消費支出デフレーター(コアPCE)が前回予測と同じ2.1%だった(表参照)。また、今回追加された2021年については、2020年と比べて成長率が減速(1.8%)し、失業率が上昇(3.7%)する見通しとされた。
金融大手バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチの短期債米国担当であるマーク・カバナ氏は、FRBが「2021年に経済が減速するとみていることを示すのは初めて」とし、「力強い経済成長がどれほど持続するかといった点について、(FOMCは)自信を失いつつある」のだろうと指摘した(「CNBC」9月26日)。
(権田直)
(米国)
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