資源開発や農業、輸送インフラ分野などでの協力に合意

(ロシア、ベトナム)

欧州ロシアCIS課

2018年09月12日

プーチン大統領は9月6日、ロシアを訪問中のベトナム共産党のグエン・フー・チョン書記長と会談した。合計19の文書が調印され、今後両国は経済関連ではエネルギーやインフラ分野などで協力を推進する。

安全保障や公共衛生分野のほか、経済分野で合意した案件には、a.(ロシアからの)液化天然ガス(LNG)供給とガス発電促進、b.(ロシアによる)原子力発電分野での人材育成、c.農業分野での協力などがある。個別案件は、d.ガスプロムによるクアンチ省(ベトナム中部)でのガス発電所の建設協力、e.ロシアのザルベジネフチによるバリア・ブンタウ省沖合での天然ガス・原油鉱区開発への参入合意、f.ロシア鉄道子会社による(建設計画中の)ロンタイン国際空港とホーチミン(タンタオ)を結ぶライトメトロ(中量軌道輸送システム)線建設に向けた枠組み合意、g.モスメトロストロイによるホーチミン市地下鉄4号線第1期建設に向けた事前技術調査の実施など。

プーチン大統領は会談後の共同記者会見で、ベトナムとの貿易額は2017年実績で前年比36.5%増と60億ドルを突破し、2018年上半期も前年同期比で18%増となったと発言。ロシアを含むユーラシア経済連合(EEU)は、2016年にベトナムと自由貿易協定(FTA)を締結していることもあり、ベトナムとの経済関係を一層活発化させるとした。また最近、ベトナム企業がロシア欧州部やシベリア・極東で農業分野への投資を行っていることを評価。一方、チョン書記長は、ロシアとの戦略的関係を発展させ、特にエネルギー、農業、輸送インフラの分野で協力を強化する方針を明らかにした。

なお、EEUとベトナムとの間のFTAに関しては、2017年に入り一部の在ロシア日系企業も利用を開始している(ジェトロ2017年度「ロシア進出日系企業実態調査」参照)。

(高橋淳)

(ロシア、ベトナム)

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