2018年の自動車販売市場は9%成長の見込み

(ロシア)

モスクワ発

2018年09月20日

第9回モスクワ国際自動車フォーラム〔主催:ITEMFエクスポ、共催:欧州ビジネス協会(AEB)〕が8月28~29日、開催された。自動車産業政策、次世代技術、生産の現地化について主に議論が行われた。3回に分けて主な内容を紹介する。1回目は、初日前半に議論された政府の自動車支援政策の評価や展望について。

アーンスト・アンド・ヤング(EY)ロシアのセルゲイ・パブロフ戦略コンサルティング・グループ長は、2005年に自動車産業誘致のため、「工業組み立て」スキーム(注)を導入して以降、自動車組み立て・部品メーカーの立地が増加し、自動車の輸入比率が2007年の46%から2017年には27%へと低下し、国内での自動車組み立てが拡大していると述べた。他方で自動車部品の輸入比率は19%から51%に上昇しており、背景として外資系自動車メーカーの進出により海外からの部品調達が増えたことと、アフターマーケット用部品の需要拡大を指摘した。今後の課題として、自動車部品産業における付加価値の向上と持続可能性のある経営を挙げ、特に部品メーカーに対する部材・原料調達や研究開発、認証取得の支援が必要と提言した。

大統領府付属分析センターのグリゴリー・ミクリュコフ経済課長は、乗用車新車販売市場の動向分析結果を発表した。同市場の回復が最近続く理由として、a.前回の販売ピーク時期である2012年ごろに購入された車の買い替え需要、b.政府による買い替え支援策、c.自動車ローンの利用拡大を挙げた。しかし4月以降はルーブル安による価格上昇懸念が生じ、回復のテンポは落ち込んでいると指摘した。

2018年、2019年の市場伸び率の見通しについてミクリュコフ氏は、2018年は前年比8~10.5%(1ドル=63ルーブルが前提)、5~7.5%(64ルーブル)とし、平均で9%程度の成長が見込めるとした。2019年については、7~9%(66ルーブル)、ルーブル安が進み1ドル=70ルーブルになるとマイナス3~5%に落ち込む可能性もあるとしたが、現状ではマイナス成長は起きにくいと予測した。

ロシア最大の自動車メーカー・アフトワズのイブ・カラカトザニス社長は、自社乗用車ブランドの「ラーダ」が、2018年上半期の新車販売台数シェアでブランド別トップとなる20%を獲得、「グランタ」5車種のモデルチェンジの効果が寄与したと述べた。今後もラーダのブランドイメージの向上に努め、販売シェア獲得、生産性向上や輸出拡大を目指すとした。

(浅元薫哉)

(ロシア)

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