2017年の世帯所得(中央値)は10年前の水準まで回復

(米国)

ニューヨーク発

2018年09月26日

商務省が9月12日に発表した、2017年における世帯当たり年間所得の中央値外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは、前年比1.8%増(注1)の6万1,372ドルとなった。2016年(6万309ドル、3.1%増)と比べて増加幅は縮小したものの、3年連続の増加となった。

中間層の所得水準を表す中央値は、2008年以降、世界金融危機の影響もあって5年連続で減少した。しかし、2013年には増加に転じ、2017年の水準は2007年(6万1,421ドル、注2)と統計的に差がない状態まで回復した(商務省発表資料外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

貧困率は3年連続で低下するも所得格差は拡大

ここ数年の景気回復の動きなどを背景として、低所得者層の所得底上げもみられた。2017年の貧困率(注3)は12.3%と、2016年(12.7%)から0.4ポイント改善して、2006年以来、11年ぶりの低水準となった。所得中央値が3年連続の増加となる中で、貧困率も3年連続で低下した。

一方で、回復ペースは所得上位層と下位層で異なり、両者の所得格差は拡大する傾向にある。所得が高い上位10%(90パーセンタイル)層の2017年の所得中央値は、前年比2.8%増の17万9,077ドルとなった一方で、下位10%(10パーセンタイル)層は2.3%増の1万4,219ドルにとどまり、両者の所得比率は2016年の12.53倍から12.59倍へと2年連続で上昇した。また、上位5%(95パーセンタイル)層の所得中央値は3%増の23万7,034ドルと全体の中央値(50パーセンタイル)の3.86倍となり、同様に2年連続で上昇した。

(注1)物価上昇の影響を調整した値。

(注2)過去の調査方法変更(2013年)に伴う影響を考慮した2007年の所得中央値に関する推計値(商務省発表資料外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

(注3)貧困線〔生活を営む上で最低限必要となる財・サービスの購入に必要な収入として、家族構成員の数ごとに設けられた閾値(いきち)〕を下回る所得を得た世帯が全体に占める割合。

(権田直)

(米国)

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