ケララ州の洪水で死者483人に、州首相が発表

(インド)

チェンナイ発

2018年09月05日

インド南部ケララ州での1924年以来といわれる8月の大雨による影響について、ピナライ・ビジャヤン同州首相は8月30日の臨時州議会で、死者が483人、行方不明者が14人に上ることを明らかにした。また、145万人が避難所での生活を強いられているという。現在では、大部分の地域で水が引いたものの、州内全14県のうち4県が甚大な被害を受けたとされ、州計画委員会のB・イクバル委員は「州の全てのセクターが壊滅的な被害を受けた。本格的な復旧には最低2年はかかるだろう」としている。

ダムの放流に伴い、下流の川が氾濫

インド気象局によると、ケララ州では8月1日から20日までの間に771ミリの降水量を記録した。州内のダムの水位が上昇し、8月10日にはイドゥッキダムのゲートを操業開始以降初めて開放するなど、州内にある54のダムのうち33のダムの水が放流された。それに伴い、下流域では川の水位が上昇し、州内の多くの土地が浸水した。コチ国際空港は、継続的な降雨と、ダム放流に伴う周辺水位の上昇および浸水被害のため、8月15日から29日までの14日間、閉鎖された。

感染症など二次被害の発生に懸念

水が引くにつれて、被災者の中には自宅に戻り始める人たちも見られ、清掃作業も開始された。また、被災地では今後、洪水と関連する病気といわれる腸チフス、赤痢、肝炎などの発生が懸念される。ビジャヤン州首相は「最優先事項は安全な飲み水と被災者に対するメディカルケアを確実にすることだ」としている。

主要産業の農業に深刻な被害

産業などへの被害も深刻だ。現地報道によると、同州の主要産業の1つである農業セクターの被害が特に大きく、被害面積は州全体の利用可能な土地の3%超となる4万323ヘクタールに上るという。州政府は、今回の洪水による総被害額が1,951億2,000万ルピー(約3,122億円、1ルピー=約1.6円)に達すると試算している(「タイムズ・オブ・インディア」紙8月28日)。

(坂根良平)

(インド)

ビジネス短信 08dfbc04fc737f3e