IMFの30億ドル前倒し融資が決定、ペソは最安値に

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2018年08月30日

マウリシオ・マクリ大統領は29日、SNSのビデオメッセージで、9月にIMFから前倒しで融資を受けると発表した。6月にIMF理事会でアルゼンチン向けの融資枠として500億ドルが承認され、150億ドルは融資済みとなっている。ニコラス・ドゥホブネ財務相は、前倒し融資額は30億ドルと述べた(「クラリン」紙8月27日)。

27日にドゥホブネ財務相がIMFに前倒し融資を要請したと発表した時点から、国内外でアルゼンチンの先行きを危ぶむ見方が高まり、通貨ペソ安が加速した。マクリ大統領は声明を通じ、今回の前倒し融資はIMFとの間で協議している2019年の財政プログラムの達成を保障するために必要な資金となり、IMFとしても同プログラム達成のために必要な措置を行い、アルゼンチンを取り巻く不安を取り除くことで合意していると述べた。

アルゼンチンは2018年第2四半期に入り、収まらないインフレ、ペソの急落、外貨準備高の減少など、ファンダメンタルのもろさが露呈している。このところのトルコ・リラの急落にペソも引きずられるかたちとなり、国内外の市場で不安視された矢先だった。

今回はマクリ大統領が直接声明を出すことによって、事態を鎮める狙いがあるとみられるが、29日の為替市場の終値は1ドル=34ペソ(アルゼンチン中央銀行)と最安値まで下落するなど、市場の不安は解消された状況にない。

(紀井寿雄)

(アルゼンチン)

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