政府の食品安全保障部門を統合、新機関が2019年4月に発足

(シンガポール)

シンガポール発

2018年08月07日

シンガポール環境・水資源省(MEWR)と国家開発省(MND)は7月26日、MEWR傘下に食品の安全保障を監督する新機関「シンガポール食品庁(SFA)」を2019年4月1日付で設立すると発表した(添付資料参照)。現在、食品関連の規制などは農食品・獣医庁(AVA)や国家環境省(NEA)、ヘルスサイエンス庁(HSA)など複数の省庁が所管している。今後は、SFAが各省庁の部門を引き継ぎ、一元的に監督する。また、食中毒など食品関連の問題にも、SFAが対応する。

MEWRは、SFAの下に「農園での栽培から食卓まで」の食品に関する所管部門を統合することで、監督を効率化し、食の安全体制を強化する。マサゴス・ズルキフリ環境・水資源相は7月26日、SFAの設立の理由の1つとして「気候変動による世界的な食のサプライチェーンへの影響に対応するため」を挙げた(「ストレーツ・タイムズ」紙7月31日)。また同相は、天候不順に強い農業ソリューションや最先端の食品製造技術などの新しいソリューションと製品を開発し、世界でチャンスをつかむため、SFAは「食品ビジネスや研究開発(R&D)機関と密接に協力する」と述べた(MEWR・MND共同声明文を参照PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))。SFA長官は、AVA長官のリム・コクタイ氏が兼任する。

シンガポールは、食品の90%以上を輸入に依存するとみられている。それだけに、世界の食料生産や供給量・価格に国全体が大きく影響される。SFAは、シンガポールでの食品ビジネス強化のため、テクノロジー導入による生産性向上や新規ビジネス開発、食品産業の変革を促す予定だ。

なお、SFAの発足に伴い、AVAは2019年4月以降に廃止される。AVAが所管する動物の健康・福祉などの動植物関連部門はMND傘下の国立公園庁(NParks)に移管する。NParksはこれまでも野生動物保護の部門があり、今回の移管により、動植物関連のワンストップサービスを提供する政府機関となる。

(源卓也)

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