第2四半期の消費者心理指数が21年ぶりの高水準に

(マレーシア)

クアラルンプール発

2018年08月01日

政府系シンクタンクのマレーシア経済研究所(MIER)が四半期ごとに発表している消費者心理指数(CSI)が、1997年第2四半期以来、21年ぶりの高水準を記録した。MIERが7月19日に開催したセミナーでの発表によると、2018年第2四半期のCSIは132.9と、基準値の100を大幅に上回り、2014年第2四半期以来の「楽観的」に転じた。

図1 消費者心理指数(CSI)の推移

GST廃止や低インフレが要因

CSIが上昇した要因として、マハティール政権の誕生により家計負担の軽減に期待が高まったことが挙げられる。具体的には、物品・サービス税(GST)の廃止、売上税およびサービス税(総称してSST)の9月の再導入まで期間があることなどがプラスに働いたとみられ、アンケート調査を行った1,200世帯のうち43%が「消費財を購入する好機」だと回答した。

物価上昇の懸念が小さいことも、CSIの押し上げ要因になっている。「インフレ率の上昇を懸念する」と回答したのは24%で、1988年の調査開始以来最も低かったという。マレーシア統計局によると、6月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同月比0.8%で、1.0%を切ったのは3年4カ月ぶり。2018年上半期(1~6月)のCPI上昇率も前年同期比1.6%で、2017年通年(3.7%)と比べても落ち着いている。ただしMIERは「今回の結果が5月の総選挙後の一過性のものかどうか、SST再導入の影響を注視する必要がある」としている。

景況感も約3年ぶりの高水準に

また、MIERがCSIと共に発表した製造業の業況を示す企業景況感指数(BCI)も、2015年第1四半期以来最高の116.3を記録した。販売、生産、輸出、資本投資など全体的に好調だった。調査によると、「売り上げが伸びた」と回答した企業は前四半期の15%から40%に増え、中でも、プラスチック製品、非金属製品、繊維・衣服、紙・同製品などの業種では売り上げ増が顕著だった。

図2 企業景況感指数(BCI)の推移

MIERは2018年通年のマレーシアのGDP成長率について、4月に上方修正した5.5%の予測を据え置いた。ザカリア・アブドゥル・ラシド所長は「政府が債務への対応のため公共部門の投資を削減した場合、下方修正する可能性もある」と述べた。

(エスター頼敏寧)

(マレーシア)

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