上半期貿易額は前年同期比5.3%増、貿易黒字を継続
(マレーシア)
クアラルンプール発
2018年08月15日
マレーシア統計局は8月3日、2018年上半期(1~6月)の貿易統計を発表した。上半期の貿易総額は前年同期比5.3%増の9,047億2,900万リンギ(約24兆4,277億円、1リンギ=約27円)で、貿易収支は41.0%増の605億5,600万リンギと、1997年11月から連続しての黒字になった(添付資料参照)。
電気・電子製品は堅調に増加
輸出額を品目別シェアでみると、37.1%を占める電気・電子製品が首位で、前年同期比10.8%増の1,791億リンギだった。そのうち、熱電子管および太陽電池・同部品が25.1%増の1,027億リンギと、電気・電子製品の輸出増に大きく寄与した。輸入額の品目別シェアについても輸出と同様、電気・電子製品が首位で、3.5%増の1,244億リンギだった。
対中輸出がシンガポールに迫る
輸出額を国・地域別にみると、最大の輸出先であるシンガポールが650億リンギで前年同期比1.6%減となった一方、2位の中国は8.0%増の646億リンギと、シンガポールに迫った。対中輸出の増加には、電気・電子製品、化学・同製品、金属製造、光学・科学機器などが寄与した。香港向けには、集積回路やフラッシュメモリなどの不揮発性半導体記憶装置などが好調で、79.4%増加した。輸入額では、中国が6.4%増の846億リンギとシェアが最大だった。
対日貿易額は前年同期比3.4%減の662億リンギで、減少の主な要因は電気・電子製品、液化天然ガス(LNG)などの輸出減だ。
米中貿易摩擦、短期的には大きな影響なし
上半期の貿易統計では、米中貿易摩擦によるマレーシアへの影響は特段みられないが、今後の影響については政府や専門家の間で意見が分かれている。政府は中国向けパーム油など、米中向けの輸出増に期待を寄せているのに対し、米中貿易摩擦の激化による世界需要の停滞がマレーシアへ悪影響を及ぼすと懸念する声も聞かれる。アライアンス銀行のチーフエコノミストは「短期的には大きい打撃はない」としているものの、「もし貿易戦争が悪化した場合、貿易額が10~20%減少する可能性がある」とし、今後の米中動向には注視が必要だ(「ザ・スター」紙8月7日)。
(エスター頼敏寧)
(マレーシア)
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