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EU側に軟化の兆しも、「ノー・ディール」の可能性ぬぐえず

(英国)

ロンドン発

2018年08月09日

英国のテレーザ・メイ首相や主要閣僚は7月末以降、英国政府が発表したEUとの将来関係に関する白書について理解を求めるため関係国を訪問している(2018年8月8日記事参照)。英国にとってブレグジット交渉は楽観できる状況にないが、欧州委員会の交渉姿勢にも軟化の兆しが見えるとの見方もある。ミシェル・バルニエ首席交渉官は8月2日、欧州各国の主要紙への寄稿の中で、アイルランドと北アイルランドの国境問題についてEU側の提案を「改良する用意がある」、交渉がまとまることに「自信がある」としたものの、EU単一市場の「人、モノ、資本、サービスの移動の自由」のうち、モノの移動の自由のみ実現を望む英国の提案をそのまま受け入れることはできないとの考えをあらためて示した。

交渉の打開策が見いだせない中、「合意なき離脱(ノー・ディール)」の可能性に関する言及も増えている。欧州委員会は7月19日に発表した文書で、交渉が合意に至る保証はないと明言(2018年7月23日記事参照)。英国側でも、7月下旬にドミニク・ラーブEU離脱担当相がノー・ディールに備えた企業や一般向けの実務的な通達を取りまとめていること、その中で食料の備蓄を想定していることなどを明らかにし、波紋を呼んだ。ジェレミー・ハント外相は7月30日、オーストリアのカリン・クナイスル外相との会談後の記者会見で、双方が意図せずにノー・ディールに向かっていると懸念を表明している。

イングランド銀行(中央銀行)のマーク・カーニー総裁も8月3日にBBCラジオのインタビューで、「ノー・ディールの可能性は比較的低いが、実際に存在する可能性だ」と述べ、その可能性は「不快な高さだ」とコメント。さらにリアム・フォックス国際貿易相は8月5日付の英紙「サンデー・タイムズ」で、6対4の確率でノー・ディールになるとの見方を示し、欧州委員会は原則に固執していると非難した。

在ブリュッセルの産業政策関係者はジェトロの取材に対し、「ノー・ディールの可能性は交渉材料として持ち出されているが、英国の負の影響の方が大きい。EU側には、英国は理性的な判断をするはずとの期待がある」と語った。しかし交渉期限とされる10月が迫る中、ハント外相が述べた「意図せぬノー・ディール」の可能性も否定できず、夏季休暇後には直接交渉、場外での駆け引きが一層激しくなるだろう。

(宮崎拓)

(英国)

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