第2四半期の実質GDP成長率は5.27%、前期から加速

(インドネシア)

ジャカルタ発

2018年08月14日

インドネシア中央統計庁は8月6日、2018年第2四半期(4~6月)の実質GDP成長率が、前年同期比5.27%だったと発表した。成長率は前期の5.06%から加速した(図参照)。GDP成長率が5.2%を上回るのは2014年第1四半期以来、4年3カ月ぶり。特に名目GDPの約半分を占める民間消費が5.14%増で、成長を牽引した。

図 実質GDP成長率の推移

民間消費が好調だった要因について、特殊要因が目立つ。開発経済研究所のビマ・ユディスティラ氏は、断食明け大祭(レバラン)に伴って支給される特別手当や、公務員に対する特別手当を増額する措置に加えて、6月に行われた地方統一選挙も消費を押し上げる効果があったと分析した。他方、インドネシア経済改革センター(CORE)のモハンマド・ファイサル調査ディレクターは、特殊要因以外の理由として、中間層の購買意欲に回復がみられ、衣服、靴、自動車の消費が増加していることを挙げた。

投資は前年同期比5.87%増で、政府消費は5.26%増だった。投資が前期の約8%成長から減速した要因について、ガジャマダ大学のトニー・プラセティアントノ経済学部教授は、6月のレバラン休暇が例年よりも長期にわたったため、民間投資の動きが鈍化したと述べた。また、ジョコ大統領が帰省ラッシュ緩和の目的でレバラン前後の有給休暇取得を奨励したことにより、製造業では例年より稼働日が短くなる傾向がみられた。

今回の好調な結果にもかかわらず、今後の経済見通しについては、不透明感が漂う。特に通貨ルピアの対米ドルレートが年初から約6%下落している上、原油輸入の増加によって、2018年上半期は貿易収支が赤字に転じ、さらなる通貨安圧力がかかっている。地元紙では、政府が目標とする年間5.4%成長は困難との論調が大勢だ。国内最大手のアジア・セントラル銀行(BCA)のチーフエコノミストであるダビッド・スミュアル氏は、通年の成長率を5.1~5.2%と予想している。

(山城武伸)

(インドネシア)

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