スパ日本企業専用工業団地の視察ツアー開催

(インド)

ムンバイ発

2018年08月14日

ジェトロは7月27日、区画整備や水道管の敷設がほぼ完了し、本格開業したスパ日本企業専用工業団地の視察ツアーを、マハーラーシュトラ(MH)州産業開発公社(MIDC)とともに、初めて開催した。本ツアーには、日本国内からの参加も含め、インドで既に投資を行っている製造業、金融業や建設業など日系企業18社23人が参加した。

プネー市内のホテルで行われたブリーフィングでは、野田亮二駐ムンバイ総領事の開会あいさつに続き、MIDC総裁のサンジャイ・セティ氏が「スパはインフラが既に整備された工業団地で、日系企業を歓迎する」として投資に期待を込めた。ジェトロ・ムンバイ事務所の本庄剛所長は、インド最大の工業州の1つである同州において産業が特に集積するプネー近郊の魅力やスパ工業団地の持つインド南北へのアクセスの優位性などについて説明した。また、「スパ工業団地は、1平方メートル当たり1,900ルピー(約3,040円、1ルピー=約1.6円)(2018年3月末現在)と周辺団地と比較しても安価で、平たんな岩盤地帯に立地し、区画整備も完了している」と述べ、造成コストを含む初期投資が抑えられるという利点を強調した。

写真 スパ日本企業専用工業団地の投資環境について説明する本庄剛ジェトロ・ムンバイ所長(左)と 日系企業の進出を訴えるサンジャイ・セティMIDC総裁(右)(ジェトロ撮影)

現地視察では、開発当初からフィジビリティー・スタディー(事業化調査)にも携わった東洋エンジニアリングの協力の下で質疑応答が行われ、参加者から「工場建設時の盛り土はどの程度行うのか」「電力供給システムをどのように構築するのか」といった具体的な質問が多く出た。

生活環境と労働環境に関する情報も提供

生活環境に関しては、地場不動産会社が「10部屋程度の需要が見込めれば、スパ周辺で日本食を提供するサービスアパートの供給も可能」と説明。続いて、地元コンサルタントがスパ近郊の労働環境について、「最低賃金では、MH州の代表的な工業団地であるチャカンを含むプネー地域が『ゾーン2』なのに対し、スパ地域は『ゾーン3』に指定されていることから、人件費を1~2割ほど抑えることができる」と解説。また、雇用を伴わない長期職業訓練プログラム「国家雇用拡大ミッション(NEEM)」を活用した事例なども紹介された。さらに、「スパを含むアーメダナガール地域には外資、地場を含め既に工場が多く立地し、技能学校もあり一定以上の技能を持った労働者の供給が豊富」と付け加えた。

イベント終了後、参加者からは「工業団地だけでなく、生活環境や労働環境まで幅広く知ることができた」「投資インセンティブについて、直接MIDCに質問できる貴重な機会だった」「具体的なインフラ整備の状態を知ることができた」との声が聞かれた。

写真 スパ日本企業専用工業団地の様子。平たんな様子や道路整備状況が見てとれる。左上は、既に 隣地で操業している外資系自動車部品メーカーの工場(MIDCの資料より)

(石本和夫、比佐建二郎)

(インド)

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