バジパイ元首相が死去、高度成長を実現
(インド)
ニューデリー発
2018年08月21日
アタル・ビハリ・バジパイ元首相が8月16日、ニューデリー市内の病院で死去した。93歳だった。肺炎や腎不全などを患って6月から入院していたという。
バジパイ氏は1924年にマディヤ・プラデシュ州で生まれ、1930年代にはヒンドゥー至上主義団体である民族義勇団(RSS)に加入、1980年にインド人民党(BJP)を創設し初代総裁となった。1996年から3期にわたって首相を務め、1998年には24年ぶりとなる核実験を強行、パキスタンもこれに対抗し核実験を実施した。パキスタンとの関係は、カールギル地区で起きた両国軍の衝突(1999年)やイスラム武装勢力による国会襲撃(2001年)などで緊張が高まったが、その後インドは融和姿勢を示し、2004年の南アジア地域協力連合(SAARC)首脳会議で2国間首脳会談を実現し、両国間の「複合的対話」開始に合意した。経済政策面では、インフラ開発や国営企業の民営化などを進めて高度成長を実現、在任期間中にGDP総額は1兆ドルを突破した(「タイムズ・オブ・インディア」紙8月17日)という。
ニューデリーで8月17日に行われた葬儀には、モディ首相、BJP幹部および閣僚、BJP政権下の州首相らをはじめ、野党からも国民会議派(コングレス)からマンモハン・シン前首相、ラフル・ガンジー総裁ら多くの参列者が集まった。海外からは、ブータンのジグメ・ケサル・ナムゲル・ワンチュク国王、バングラデシュのアブル・ハッサン・マームード・アリ外相やアフガニスタンのハミド・カルザイ元大統領らが参列した。モディ首相は「アタル氏(バジパイ氏)は自身の師であり、ロールモデルだった」とコメントしている(同)。
バジパイ氏の死去を受けて、政府は7日間、喪に服することを発表し、17日は政府機関を休日とした。
(古屋礼子)
(インド)
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