カルフール業績好調、地場各社は明暗分かれる

(ケニア)

ナイロビ発

2018年08月17日

フランスの小売り大手カルフールは、ケニアでの2018年上半期の売り上げが前年同期の2.5倍に達した(「ビジネスデイリー」紙8月2日)。同社はアラブ首長国連邦(UAE)のマジッド・アルファティムとフランチャイズ契約を結び、2016年にケニアに進出した。2018年にはナイロビのショッピングモールであるサリットセンターとガレリアモールに出店し、8月時点で国内に6店舗を展開している。12月には富裕層向け商業施設のビレッジマーケットにもオープン予定だ。2018年の売り上げは、前年の82億ケニア・シリング(約90億円、Ksh、1Ksh=約1.1円)の2倍を上回る200億Kshを目指すとしている。

地場のスーパーマーケットでは、2018年6月に従業員の賃上げを発表したタスキーズは国内とウガンダに約60店舗を展開、ナイバスも国内に40店舗以上を展開するなど好調を維持する一方、東アフリカ最大の総合小売りチェーンだったナクマットは苦戦している。2013年にナイロビのショッピングモールで発生したテロ事件で、同社の店舗も大きな被害を受けた。客足が鈍化した時期にも積極的に店舗展開したが、キャッシュフローが悪化し多額の負債を抱え、納入業者などへの支払いも滞り、店舗網の縮小を余儀なくされた。報道では、社内のITシステム近代化の遅れや成長を過大に見積もった経営計画なども経営悪化の要因と指摘された。ナクマットと同じく地場大手だったウチュミも店舗数の拡大に伴い経営が悪化し、店舗を縮小した。2016年にフランチャイズを導入し小規模店舗の拡大を目指したが、2店舗にとどまっており、地場各社は明暗が分かれたかたちだ。

2017年のGDPの中で卸・小売業の成長率は5.7%と前年の3.4%から加速しており、消費拡大や市場の潜在性に注目した外資の参入事例が増えている。中東の巨大財閥マジッド・アルファティムとカルフールのフランチャイズ契約はケニアを含む東アフリカを包括しており、同社はケニア近隣国への進出にも意欲をみせている。

(久保唯香)

(ケニア)

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