中銀、緊急利上げで政策金利を45%に

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2018年08月21日

アルゼンチン中央銀行の金融政策協議会(COPOM)は8月13日に緊急会合を開き、政策金利を40%から45%に引き上げることを全会一致で決定した。8月7日の定例会では40%のまま据え置いていた。中銀は緊急利上げの理由を「国外情勢の現況と国内のインフレに対応するため」とした。

6月のIMFからの総額500億ドルの融資の決定後、通貨ペソは安定を取り戻し、7月は1ドル=27ペソ台で推移した。定例会後、市場では早急な経済回復のために政策金利が引き下げられるのではないかと予想されていたが、ペソは8月9日に1ドル=29.2ペソ、10日には30.0ペソまで落ち込み、中銀は緊急利上げに踏み切った。また15日には7億8,100万ドル規模のドル売り入札が実施された。

政策金利の引き下げめどに関して、定例会の声明では「2019年のインフレ目標値の達成に向け軌道に乗るまで」としていたが、緊急会合では「少なくとも10月まで」と発表された。また、同会合で引き続き為替の安定によるインフレの抑制が重点事項であることが確認されていた。しかし、高い政策金利下において実体経済は厳しい状況が続いており、GDP成長率の見通しは時間の経過とともに下方修正されている。今回の政策金利の引き上げおよび10月まで金利引き下げが行われないことによって、景気回復にはさらなる時間を要することになりそうだ。

(紀井寿雄)

(アルゼンチン)

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