北京市と広州市にインターネット裁判所設立

(中国)

広州発

2018年08月03日

最高人民法院(最高裁判所)は7月25日、北京市と広州市にインターネット裁判所を設立すると発表した。司法体制改革推進の全面的深化に関する会議で明らかにした。インターネット裁判所は2017年8月に浙江省杭州市に設立されており、その成果を押し広めるものとなる。

一連の手続きはネット上で完了

杭州インターネット裁判所は、杭州市内のネット上の少額の売買・サービス・融資契約、品質責任、著作権、ドメイン紛争などに関する民事・行政案件について、一審として審理を行っている。起訴、応訴、仲裁、審理、判決など裁判の一連の手続きもネットを通じて行われる。裁判文書は人工知能(AI)を利用して作成され、裁判官は修正のみ行う。プラットフォームはアリババの技術を利用しているため、同社の決済サービス「アリペイ」を利用して身分証明を行うことが可能とされる。

「WeChat」を利用したオンライン出廷も

北京市、広州市にとって、司法でのネット利用はインターネット裁判所が初めてではない。北京市第4中級人民法院、広州市中級人民法院は騰訊(テンセント)の「微信(WeChat)」内のアプリ「微法院」を利用している。広州市では2017年9月に運営が開始され、11月にバージョン3が発表された。実名認証と顔認識を利用し、裁判関連情報の閲覧、費用納付、オンラインでの出廷などができる。

北京市と広州市へのインターネット裁判所の設置については、7月6日に開催された中央改革全面深化委員会の2018年第3回会議で提議され、「北京インターネット裁判所、広州インターネット裁判所業務の推進に関する分担方案」が審議・可決されたと報じられていた(「新華網」7月6日)。

(河野円洋)

(中国)

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