7月の失業率は3.9%、前月から0.1ポイント改善

(米国)

ニューヨーク発

2018年08月09日

米国労働省が8月3日に発表した2018年7月の失業率(注1)は、前月より0.1ポイント低下して3.9%となり(表参照)、市場予想(3.9%)と同じだった。就業者数が前月から38万9,000人増加し、失業者数が28万4,000人減少した結果、失業率は2カ月ぶりに改善した。3.9%となるのは4月以来、3カ月ぶり。また、労働参加率(注2)は62.9%となり、前月と同じだった。

失業期間が約半年(27週間)以上になる長期失業者が失業者全体に占める割合は、前月から0.3ポイント低下して22.7%となった。また、適当な仕事が見つからずに職探しを断念した人や不本意ながらパートタイム労働に従事する人(経済的な理由によるパートタイム就業者)などを含めた広義の失業率(U6)は、前月から0.3ポイント低下して7.5%となった。7.5%となるのは2001年5月以来、17年2カ月ぶり。

表 雇用統計(7月速報)の結果

雇用者数の増加幅は前月から縮小

7月の非農業部門の雇用者数の前月差は15万7,000人増となり、前月と比べて増加幅が縮小した。なお、6月は21万3,000人増から24万8,000人増へ、5月は24万4,000人増から26万8,000人増へとそれぞれ上方修正され、5~6月計で5万9,000人の上方修正となった。6月から7月への雇用増加の内訳を主要業種別にみると、教育・医療サービス業が2万2,000人増と前月(6月:6万9,000人増)から増加幅が縮小し、運輸・倉庫が1,300人減と前月(6月:1万8,900人増)から減少に転じた一方で、小売業(7,100人増)が前月(2万200人減)から増加に転じたほか、対事業所サービス業(5万1,000人増)などは引き続き前月から増加した。

平均時給は前月比0.3%増(6月:0.1%増)、前年同月比2.7%増(6月:2.7%増)の27.05ドル(6月:26.98ドル)となった。

投資銀行バークレイズ米国担当エコノミストのマイケル・ガペン氏は、現時点で「企業が雇用や支出の方法を変えているといった証拠は見られない」と述べるとともに、「今のところ関税(の追加賦課による影響)に対する懸念は、ただの懸念事項」にとどまっていると指摘した。また、今後「労働市場の需給の緩みが解消されるにつれて、どこかの段階で人手不足によって価格上昇圧力」が高まり、賃金上昇ペースが加速する可能性があるとも指摘した(「ブルームバーグ」8月3日)。

(注1)失業率は、労働力人口(就業者+失業者)に占める失業者の割合。

(注2)労働参加率は、生産年齢人口(16歳以上の人口)に占める労働力人口(就業者+失業者)の割合。

(権田直)

(米国)

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