スマートシティーを目指す上海市、大手IT企業と提携相次ぐ
(中国)
上海発
2018年08月29日
上海市政府は8月20日、インターネットサービス大手の騰訊(テンセント)と協力関係の強化に向けた枠組み協定を締結した。人工知能(AI)やビッグデータ、クラウドコンピューティングなどを活用し、スマートシティーの構築や長江デルタ地域における経済、社会、公共サービスなどの分野で一体化を推進する。両者は2015年、インターネットとの融合で産業発展を推進する戦略提携に合意してきたが、今回はその進化版といえる。
テンセントは協定の締結に合わせ、上海市徐匯区に設置する地域統括本部(華東)の除幕式も行った。同社は今後、上海市と提携してスマート小売りの実現やAIイノベーションモデルエリアの建設、インターネット媒体の発展、「ウィーチャット」などのプラットフォームを活用した新たなサービスや、ビジネスモデルの創出に一層力を入れていく方針だ。
上海市のインターネット情報大手との提携はテンセントに限らない。上海市は、8月7日にスマートフォン大手の小米(シャオミ)、8月16日にアリババグループおよび傘下の金融会社アント・フィナンシャルとそれぞれ戦略合作協議を締結した。
上海市はイノベーションセンターも目標に据える
上海市が情報大手企業と提携を急ぐのは、「5つのセンター」という都市戦略の実現に情報通信技術(ICT)活用が欠かせないからだ。
上海市は2018年1月5日、国務院(内閣)の承認を受け、「上海市の都市全体計画(2017~2035年)」(以下、計画)を公表した。上海市は長江デルタ地域の中核都市として、従来の4つのセンター(国際経済、金融、貿易、運輸)という位置付けに、5つ目のセンターとして「イノベーションセンター」が新たに加わった。
計画は、2020年(短期)、2035年(長期)、2050年(展望)の3段階に分けてそれぞれ目標を策定しており、概要は以下のとおり。
- 2020年:国際的な影響力のあるイノベーションセンターの基本的な枠組みと、国際経済、金融、貿易、運輸センターとしての位置付けをほぼ完成させる。
- 2035年:重要な都市発展指標が先進国のレベルに達する。
- 2050年:各種発展指標が先進国のレベルに達する。
(劉元森)
(中国)
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