電力大手ルスギドロ、第1四半期の決算堅調

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2018年06月19日

電力大手ルスギドロは6月7日、2018年第1四半期の財務諸表(国際会計基準)を発表した。売上高は前年同期比ほぼ横ばいの996億9,900万ルーブル(約1,794億5,800万円、1ルーブル=約1.8円)、純利益は23.4%増の212億300万ルーブルとなった。同社グループの発電量の7割は水力発電によるもので、当期はボルガ・カマ川水系の貯水池への流入量増加で発電量が拡大したことに加え、極東地域の電力需要増もグループ全体の発電量〔前年同期比9.3%増の318億3,500万キロワット時(kWh)〕を押し上げ、堅調な決算につながった。

ルスギドロは4月2日の取締役会で、2018年から2023年までの設備投資計画を決定している。6年間で4,430億ルーブル超を投じ、発電能力を1.5ギガワット(GW)、熱供給能力を毎時1,000ギガカロリー拡大する。2018年は1,237億ルーブルを設備新設や既存発電・送電設備の更新や改修、極東の優先事業などに充て、発電能力を807メガワット(MW)拡大する予定。

極東との料金調整制度に不満も

同社が電力の9割を供給する極東では、連邦政府が地域振興の観点から他地域に比べ低い電力価格を設定し(2018年1月17日記事参照)、その差額を補助金として同社に支給している。補助金を含む総売上高は1,100億9,700万ルーブルで、前年同期比6.5%増だった。補助金の財源は2017年7月から2019年まで、極東以外の地域の電気料金を引き上げて賄われている。交差補助金制度といい、ユーリー・トルトネフ副首相兼極東連邦管区大統領全権代表は「他地域の値上がり率はわずか1.3%」として、同制度の適用期間を2028年まで延長することを連邦政府に提案。また、チュコト自治区のロマン・コピン知事も6月5日、プーチン大統領に同制度の10年間延長を要請した(「リアノーボスチ」6月5日)。

一方、同制度は不満も招いている。連邦下院エネルギー委員会のパベル・ザワリヌィ委員長は、5月25日に行われた電力業界の交差補助金制度に関する円卓会議で、「同制度は価格差別であり国全体の経済発展に悪影響を及ぼしている」と指摘した。

(市谷恵子、高橋淳)

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