政府の100日プラン、中国など新興国シフトの方針を鮮明に

(トルコ)

イスタンブール発

2018年08月14日

トルコ政府が8月3日に発表した100日プラン(2018年8月13日記事参照)では、通商政策などに関する方針も打ち出されている。

エネルギー分野では、エネルギー源の多様化が主眼とされ、再生可能エネルギーによる発電を増やし、出力1,000メガワット(MW)の火力発電所の入札を行うことに触れている。アックユ原子力発電所第1号機の2023年稼働や第3原子力発電所のトルコ西北トラキア地域での建設の準備を開始することも発表された。さらに、国内・地中海での資源探索への意欲も示されている。

特に注目すべき点は、中国などの新興国へのシフトを鮮明にしたことだ。エルドアン大統領とルフサル・ペクジャン貿易相は、BRICSなどの新興国を輸出先として優先し、この優先国への進出を狙った戦略を策定すると発表した。欧米系の格付け会社による格下げの影響により、欧米からの外資誘致が難しくなったことに対応するために、中国元建ての債券(パンダ債)の対外借り入れを受け入れる方針を示している。また現在、中国、ロシア、イランなどとの間で、各国通貨を貿易決済通貨として利用することや、貿易関係の発展継続に関して交渉を続けることも示されている。

なお、統治機構に関しては、大統領府の下にある各委員会や各部の機能強化、各省の役員の任命を100日以内に完了することを目標としている。外交分野では、テロ組織への対応・協力を、欧米など世界各国と積極的に行う。トルコのアブドゥルハミト・ギュル法相とシュレイマン・ソイル内相の米国内資産凍結など制裁措置の火種を抱える米国とは、NATOとの戦略的な関係の維持のほか、EU、ロシアなどとはビザ免除協定に向けた努力を継続することが盛り込まれている。シリア問題に関しては、その政治的な解決への努力を行うとともに、トルコにいる354万人のシリア人難民を、トルコ軍がシリア北部のトルコ軍コントロール地域に帰国させる環境をつくることも示された。また、EU離脱(ブレグジット)後の英国とも、貿易を含む経済的な関係強化のために努力する方針だ。

(エライ・バシュ)

(トルコ)

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