上半期の基礎的財政収支の赤字は43.9%縮小
(ブラジル)
サンパウロ発
2018年08月02日
国庫庁(Tesouro Nacional)は7月27日、2018年上半期(1~6月)における中央政府の基礎的財政収支の赤字は前年同期比43.9%減の330億レアル(約9,900億円、1レアル=約30円)だったと発表した。上半期の実績としては2015年上半期以来の少ない赤字額だった。
財政収支の改善は、歳入が7,406億レアルと前年同期比6.5%増加した一方、歳出が2.2%増の6,462億レアル(注)に抑制されたことによる。歳入の増加は、経済活動が非常に緩やかなペースではあるが回復基調にあることに加えて、滞納税債務減免措置(PERT/PRT)による納税額の増加、2017年7月から実施した燃料に課せられる社会負担金の税率引き上げなどが要因とされる。
一方で、歳出については補助金など(前年同期比27.4%減の74億レアル)や失業保険など(6.9%減、274億レアル)、さらに成長促進計画(PAC)関連経費(13.8%減、93億レアル)の減少などによる。ただし社会保障費は2.7%増(2,768億レアル)となっている。
2018年の基礎的財政収支の目標は通年で1,590億レアルの赤字だが、6月時点で過去12カ月累計の赤字額は1,032億レアル、GDP比1.5%(消費者物価指数で実質換算ベース)と推計されている。マンスエット・アルメイダ国庫長官は、上半期の財政収支の実績から考えれば2018年通年の目標値は十分に達成できるとの見方を示す一方で、財政赤字がGDP比70%を超える水準で上昇傾向にあることは懸念すべきとの認識も示した(「バロール」紙7月27日)。
(注)ここで言う歳出は中央政府の歳出。地方政府への分配金は歳入から差し引かれている。2018年上半期の地方政府への分配金は1,314億レアル(7.7%増)だった。それ以外にソブリンファンドの実績も上半期の収支に影響を与えている。
(二宮康史)
(ブラジル)
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