サンフランシスコの老舗百貨店ガンプスが破産申請

(米国)

サンフランシスコ発

2018年08月31日

複数の現地報道によると、サンフランシスコの老舗百貨店ガンプスは8月3日、ネバダ管区連邦破産裁判所に米国破産法第11章(日本における民事再生法)の適用を申請した。

ガンプスは1861年に創業。19世紀のゴールドラッシュ時代には富裕層向けに贈り物や宝石、高級家具などを販売し事業を拡大した。同社は報道を受けてウェブサイトで、「店舗の閉鎖はつらいが、これまでどおり、ガンプスに期待されている低価格で高品質の商品を購入できる機会を顧客に提供することを楽しみにしている」とコメント。トニー・ロペス役員は「ガンプスはサンフランシスコの幅広い世代、そして世界中の独特で優雅な商品に魅了されている国中の顧客に愛されている。これからも伝統あるブランドを提供するため資本を求め続けていく」としている。

店舗の削減相次ぐ

同社の破産法適用の申請は、米国の百貨店業界の厳しい状況を示す出来事の1つと言える。商務省センサス局によれば、2016年の米国百貨店全体の売上高は1,528億ドルで、ピーク時の2000年に比べると3割以上落ち込むなど、減少傾向が続いている(図参照)。ロード・アンド・テイラーの10店舗閉鎖発表(2018年6月18日記事参照)のほか、2017年にはメイシーズが68店舗、シアーズが150店舗、J.C.ペニーも138店舗を削減することを発表している。

その一方で、電子商取引(EC)の売り上げは拡大している。米調査会社イーマーケターは、2016年の米国ECによる売り上げは3,909億ドルで、小売り全体の8%を占め、2018年には1割に上ると予測している。メイシーズは生き残りをかけてオンラインショッピングの強化を掲げ、同社にしかない商品の販売や、実店舗と組み合わせた割引などを行っている。

写真 ガンプスの店舗(ジェトロ撮影)
図 米国における百貨店の売上高推移

(石橋裕貴)

(米国)

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