LAメトロが全米初の不審物検査機器を導入へ
(米国)
ロサンゼルス発
2018年08月27日
ロサンゼルス郡都市交通局と米国運輸保安局(TSA)は8月14日、全米で初めて地下鉄駅構内での不審物検査機器(ボディースキャナー)を導入すると発表した。今回導入が発表された検査機器はスルービジョン(Thruvision、本社:英国)の製品で、発表内容によると、人体から自然に発生する波をブロックしている金属または非金属物体を識別することができる。服を着ていると全身が緑色のレントゲン写真のように写るが、服の下に武器を隠し持っているとその部分が黒く見える。約10メートル離れた距離からスキャンが可能で、1時間当たり2,000人超の検査に対応することができる。BBCの報道によると、同社の製品は一切の放射線を発することなく、衣類の上からでも人間の体温に応じて、不審物を所持しているかの特定が可能になると評価されている。ロサンゼルスのユニオンステーションなどの駅では2017年に実証実験が完了し、早期の正式導入を予定している。
米国では、電車内で乗客が刃物などで襲われる事件が相次いで発生しており、今回のボディースキャナー導入や警官の増員など、乗客の安全を確保する動きが活発化している。ロサンゼルスでは、2016年5月にダウンタウンとサンタモニカを結ぶエキスポラインが開通したこともあり、バスなどの乗車人数が減っている中、LAメトロ(電車)の乗車人数(2017年)は5年前に比べ3.6%伸びた。テロや事件防止に向けて、一刻も早い安全対策が必要とされている。
TSAはロサンゼルスだけでなく、ニューヨークやワシントン、サンフランシスコなどの大都市においても、乗客の安全を確保するための同様の措置を試験的に行っている。
(村田颯馬)
(米国)
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