繊維と眼鏡産業が盛んな福井で日EU・EPAセミナー

(EU)

欧州ロシアCIS課

2018年08月13日

ジェトロは8月3日、福井県福井市において日EU経済連携協定(EPA)の活用に向けたビジネスセミナーを開催した。日EU・EPAが7月17日に署名されたことを受けて、高い関心が寄せられ、地元企業を中心に約30人がセミナーに出席した。

冒頭のあいさつでジェトロ福井の関根成子所長は、福井県は繊維、化学工業、眼鏡産業などが盛んで、欧州ビジネスを行っている企業も多数あることから、日EU・EPAの活用が期待できると述べた。

セミナーでは、ジェトロ海外調査部欧州ロシアCIS課の田中晋課長が、EU市場の魅力や日EU・EPAの概要、関税上の優遇措置を得るための具体的な手続きなどについての解説を行った。田中課長は、まずEU市場の魅力について、EUは5億人を超える人口を有しており、1人当たりのGDP水準が高い点、世界に向けた高い発信力を有する展示会などが多く開催される点などを指摘した。

田中課長は続いて、日EU・EPAについて、総人口6億4,000万人、世界のGDPの約28%、世界貿易の約37%を占める世界最大級の規模を有する先進国による自由貿易圏が誕生するとその意義を評し、署名後のスケジュールや、制度の概要について解説した。特恵関税の具体的な適用方法については、EUの関税分類であるCNコード、TARIC下位分類の調べ方や、原産地規則の概要、原産地証明が自己申告制度となる点などについて、実際に企業が運用することを想定した説明が行われた。

質疑応答においては、欧州ビジネスを既に展開している企業が多く参加したことから、実際に関税上の優遇措置を得ることをイメージした、多数の質問が寄せられた。参加企業には繊維企業が多く、繊維や生地は多数の原料を組み合わせて製造されることから、関税分類変更基準の救済規定(デミニマス)の非原産材料に関する上限値など原産地規則に関する項目に特に強い関心が寄せられた。

最後に、ジェトロ福井の田邊民子コンシェルジュが、新たにEU向けサービスを追加した「新輸出大国コンソーシアム」とそのサービスメニューを紹介した。登録した企業は、EU向けの輸出や投資に関して、無料で専門家や支援機関によるアドバイスや支援を受けることができる。EUの個人情報保護の規制(GDPR)やCEマーキングに関する相談にも対応が可能だ。本プロジェクトの概要や申し込みについては、ジェトロ 新輸出大国コンソーシアムEU展開支援プロジェクトのページを参照。

写真 欧州ビジネスを行う企業などから多くの質問が寄せられたセミナー(ジェトロ撮影)

(芳賀隼人)

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