政府、エネルギー貯蔵の技術開発に重点投資

(オーストラリア)

シドニー発

2018年08月14日

オーストラリアのサイモン・バーミンガム教育・訓練相とジョシュ・フライデンバーグ環境・エネルギー相は8月2日、エネルギー貯蔵に関する研究開発(R&D)に750万オーストラリア・ドル(約6億750万円、豪ドル、1豪ドル=約81円)を拠出すると発表した。

バーミンガム教育・訓練相によると、エネルギーに関わる次世代研究者を育成するための訓練センターをビクトリア州のディーキン大学に新設するため、政府は440万豪ドルを拠出する。

また、フライデンバーグ環境・エネルギー相によると、ニューサウスウェールズ大学におけるオーストラリアン・リサーチ・カウンシル(ARC)の研究ハブ新設のため、310万豪ドルを拠出する。同ハブではエネルギー貯蔵技術の開発を行うという。

バーミンガム大臣はオーストラリアのエネルギー産業が変革期にあることを踏まえ、「新しいアイデアや技術を開発する優秀な研究者や、オーストラリアのエネルギー生産、中でも重要なエネルギー貯蔵能力を拡大できるような研究者が必要だ」と述べた。

育成された研究者はエネルギー業界と協働し、印刷可能なプリントバッテリー、蓄電デバイス(ストラクチュラルスーパーキャパシタ)、燃料電池、パワーツーガスシステム(再生可能エネルギー発電の余剰電力、水素やメタンを気体燃料に変換する仕組み)など、エネルギー貯蔵技術のイノベーションを推進することになる。

連邦政府が進める新エネルギー政策「ナショナル・エネルギー・ギャランティー(NEG)」では、電気代の削減、二酸化炭素(CO2)排出量の削減、信頼性の高い電力網の実現を目標としている。今回、投資をするR&D事業とNEGを組み合わせることで、さらなる発展が期待される。

(小柳智美)

(オーストラリア)

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