第2四半期のGDP成長率は4.5%、3期連続で減速

(マレーシア)

クアラルンプール発

2018年08月29日

マレーシア中央銀行と統計局は8月17日、2018年第2四半期(4~6月)の実質GDP成長率(前年同期比)を4.5%と発表した(表1参照)。前期より0.9ポイント減速し、6四半期ぶりの4%台となった。3期連続での減速で、成長を牽引していた半導体など電気・電子の輸出が一服したことに加え、鉱物や農業の減産も影響した。

表1 需要項目別実質GDP成長率〔前年(同期)比〕の推移

GDPを需要項目別にみると、個人消費は雇用が拡大したため、8.0%増(前期:6.9%増)と好調だった。民間投資は6.1%増(0.5%増)と大幅に回復した。政府消費は3.1%増と加速したが、公共投資は9.8%減に大きく減少した。純輸出は前期の2桁成長(62.4%増)から1.7%増に大幅減速し、成長率への寄与はゼロに近かった(図参照)。

図 実質GDP成長率 (前年同期比)と項目別寄与度の推移

産業別にみると、サービス業と製造業がそれぞれ6.5%増、4.9%増と引き続き成長を牽引した(表2参照)。サービス業は前期から横ばいだったが、6月以降は物品・サービス税(GST)税率が0%になっており、小売り(8.1%増)、食品・飲料(9.9%増)、情報通信(8.6%増)、が前期より加速し、成長に寄与した。製造業は前期より0.4ポイント低下したものの、継続的な半導体需要により、電気・電子は0.2ポイント加速した。建設業は前期より0.2ポイント減速した。

表2 産業別実質GDP成長率〔前年(同期)比〕の推移

他方、農業、鉱業・採石は前期のプラス成長からマイナス成長に転じた。農業は、天候不順により2.5%減(前期:2.8%増)と不調で、特にゴム(20.1%減)、パーム油(6.0%減)の減産が足を引っ張った。鉱業・採石は、東マレーシアでのパイプライン漏れによる天然ガスの供給停止の影響で、2.2%減少した。

中銀は通年見通しを下方修正

インフレ率は、6月1日からGSTの税率が0%になったことが影響し、前期の1.8%から1.3%に低下した。

2018年通年の経済成長見通しについて、中銀は当初の予測(5.5~6.0%)を5.0%へ下方修正した。7月に就任したノル・シャムシアー・モハマド・ユヌス中央銀行総裁は「米中貿易摩擦により、世界成長が減速する可能性がある」と発言し、マレーシア経済への影響について警戒感を示した(「ザ・エッジ」紙8月20日)。

(エスター頼敏寧)

(マレーシア)

ビジネス短信 5bce59dec5fee2ac