大統領選で現職が当選、野党は不正を主張

(ジンバブエ)

ヨハネスブルク発

2018年08月06日

7月30日に実施された大統領選(2018年8月1日記事参照)の結果が8月3日未明に発表され、現職のエマーソン・ムナンガグワ大統領が得票率50.8%で当選した。一騎打ちを繰り広げた最大野党・民主変革運動(MDC)のネルソン・チャミサ党首の得票率は44.3%とわずかに届かなかった。国内10州の州別得票率ではチャミサ氏が4州でムナンガグワ氏を上回った。

当初、大統領選の結果は8月4日に発表される予定だった。しかし、8月1日、大統領選と同時に実施された下院選の結果が発表され、与党・ジンバブエ・アフリカ民族同盟・愛国戦線(ZANU-PF)が全210議席の3分の2を上回る144議席を獲得したことが伝えられると、一部のMDC支持者が「選挙結果が不正操作された」と猛烈に抗議するとともに、大統領選の結果の早期開示を求めて首都ハラレで大規模な抗議活動が行われ、与党を支持する国軍の介入により6人の野党支持者が死亡する事態に発展。事態収拾のために大統領選の結果開示を早めたかたちだ。

ムナンガグワ氏は、ロバート・ムガベ前大統領の辞任に伴い発足した新政権初となる選挙を平和裏に実施することを通じて、国際社会からの信頼を回復しようとしていたが、過去の選挙と同様に、野党支持者を武力で弾圧する姿は国際社会に再び失望をもたらすものとなった。EU選挙監視団は選挙に「欠陥」があったと指摘、米国選挙監視団も選挙のプロセスに改善が見られたことは認めた上で「重要な問題も見られた」としている。MDCは国内の約2割の投票所で結果が正式に公表されていないと批判しているが、不服申し立て裁判を行うかは明らかになっていない。弁護士でもあるチャミサ氏は、選挙結果の発表前からジンバブエの司法の独立性に疑問を呈しており、選挙結果が法廷で覆ることに懐疑的だとみられる。

(高橋史)

(ジンバブエ)

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