タワントルゴイ炭鉱の資金調達に関する国会決議を可決

(モンゴル)

北京発

2018年08月15日

モンゴル国会は、「タワントルゴイ炭鉱収益性向上のための対策について(国会決議第73号)」を6月29日に可決した。同決議の第1条では、モンゴル政府が戦略的鉱山と指定するタワントルゴイ炭鉱の収益性向上および関連するインフラを建設する目的で、タワントルゴイ炭鉱の権益を有する法人(エルデネス・タワントルゴイ:ETT)の株式最大30%を国内外の証券取引所で販売すると定めた。また、それにより調達した資金で、石炭を輸送するための道路、鉄道や石炭化学工場、発電所などのインフラを建設するほか、ロシア、中国との通過輸送、通関条件についても交渉するとした。

タワントルゴイ炭鉱関連の資金調達については、2010年7月7日付の国会決議第39号でETT株式の20%をモンゴル国民に無償で保有させること、最大10%をモンゴル企業に額面価格で販売すること、最大20%を国内外の証券取引所で販売することなどが定められており、今回の国会決議第73号はそれを受けたものだ。

同決議について、鉱業重工業省は7月3日に「ウドゥリーンソニン」紙がソミヤバザル鉱業重工業相に行ったインタビューを公式ウェブサイトに掲載した。それによると、「現在ETTの株式は、政府が約78.9%を、モンゴル国民が約21%を、モンゴル企業が約0.05%をそれぞれ保有しており、政府持ち分のうち30%を販売する」とした。なお、調達する金額は鉱業重工業省と大蔵省の合同試算では、最低15億ドル、最高60億ドルを予定しているという。

今後、詳細なFS(事業化調査)の作成やコーポレートガバナンスの改善などの準備を180日以内に完了し、2018年末に国会に報告して承認を得た後、1年以内に販売する。また、国際コンサルタントや関係者と相談の上で、香港、ニューヨーク、上海、東京、トロントの各証券取引所にオファーする予定で、モンゴルに最も有利な条件を提示した証券取引所を選定する。

なお、ニュースサイトEagle.mnによると、政府は8月8日の定例閣議でETT株販売の準備作業には、専門的に高度な能力と経験が必要とされるため、適任者を早急に選定するよう関係閣僚およびETT経営陣に指示したという。

(藤井一範)

(モンゴル)

ビジネス短信 58879d3be02e090e