ヒューストン経済界、追加関税の適用除外申請却下を懸念

(米国)

ヒューストン発

2018年08月14日

ジェトロは、グレーター・ヒューストン・パートナーシップ(ヒューストン広域圏商工会議所)のボブ・ハービー会頭に、トランプ大統領の関税賦課による同組織の姿勢や都市圏内のビジネスへの影響について話を聞いた(8月8日)。

ハービー会頭は「ヒューストンと日本の良好な関係は50~60年以上も続いており、日本の投資や企業の流入がヒューストンに大きな利益をもたらしている。最近ではさらに企業の活発な活動が多くみられ、例えばダイキン工業の進出により、多数のサプライヤーが当地に進出してきている。そして、さまざまな技術も持ち込まれ新たな雇用も生まれ、確実に地元に根付き拡大している。そのほか、三菱重工業のニューヨークからヒューストンへの米国本社機能の移転も良い事例の1つだ」と話す。

一方、通商拡大法232条による地域経済や企業に及ぶ影響については、「他の地域と同様、ヒューストンの経済にも大きな影響を及ぼしている。ヒューストンは石油ガス業界や建設事業などで鉄鋼・アルミニウムに大きく依存している地域だが、先日も多くの米国企業の適用除外の申請が却下されたと発表されるなど、かなりの打撃を受けている。今回の政策は国内外、両方の企業にとって非常に悪い影響を与えることになる」と懸念を抱く。

また、ハービー会頭は「今後232条が自動車・部品にも適用された場合、他の地域よりは影響は少ないかもしれないが、ヒューストンにとっても確実に問題となっていくだろう。現時点ではまだ最終的にどうなるか定かではないが、この追加関税賦課の問題については、過去に貿易政策に20年以上携わってきた連邦下院歳入委員長のケビン・ブラディ議員(共和党、テキサス8区)を中心に議会メンバーとも密に議論をしている。今後、組織としてもこの問題に対しきちんと声を上げていくべきと考えている」と言及した。

全米商工会議所は、テキサス州を含む全米50州における追加関税賦課による影響を取りまとめた調査結果を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。それによると、テキサス州から中国への輸出で追加関税の影響を受ける金額の総額は13億6,300万ドルで、そのうちアルミニウムのくずが1億1,400万ドルだ。これは、同品目の対中輸出ではカリフォルニア州(2億5,600万ドル)に次ぐ金額となっている。

(内田香織里)

(米国)

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