政策金利を0.75%に引き上げ、約10年ぶりの水準

(英国)

ロンドン発

2018年08月03日

イングランド銀行(中央銀行)は8月1日の金融政策委員会(MPC)で、政策金利の0.5%から0.75%への引き上げを全会一致で決定した。政策金利は2017年の11月に引き上げられて以降、景気の減速などを受けて据え置かれていたが、今回の利上げによって2009年の経済危機以来約10年ぶりの水準となった。マイク・カーニー総裁は、雇用の伸びよりもインフレの抑制を優先すべき時期だ、とのを示した。

中銀の発表によると、2018年第1四半期の景気の落ち込みは一時的なもので、第2四半期は回復基調となった。また、失業率が過去40年で最低水準にあることが示すとおり、労働市場は引き締まっている。今後3年間、GDP成長率は平均1.75%程度となるとした。

インフレ率については、2017年2月以降、政府のインフレ目標である2%を超える水準が続いている。中銀は、通貨ポンドの下落とエネルギー価格の上昇など国外コストが原因と説明している。今後は、賃金上昇などの国内の物価上昇圧力が増加する一方で、国外の物価上昇圧力は緩和されるとして、インフレ率は2%をやや超える水準に落ちつくと予測している。

また、英国のEU離脱(ブレグジット)プロセスの進展に対する家計、企業、金融市場の反応が経済に大きな影響を及ぼし得るとする見解も継続して示している。

報道によれば、今回の利上げは大方の予想どおりだが、一部にはブレグジット交渉に伴う不確実性による経済への悪影響が依然として残っている中で、金融引き締めに踏み切ったことをする声もある。このような批判に対して、カーニー中銀総裁は、完全な確実性が確保できるまで決定を延期することは誤りであり、ブレグジットがどのような結果になろうと、多くの場合、政策金利は今より上がるため、(政策金利を)万が一の準備として維持する必要性はないとコメントした。

(木下裕之)

(英国)

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