ホライズン2020参加継続、ノー・ディール時には第三国の扱いに

(英国)

ロンドン発

2018年08月16日

英国政府は8月9日、EU離脱(ブレグジット)に際してのEUの研究開発支援枠組み「ホライズン2020」への参加について、Q&A方式のガイドラインPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を公表した。英国とEUが離脱協定に合意した場合は、英国企業や大学などは従来どおりホライズン2020に参加できるものの、合意なく離脱した場合(ノー・ディール)は「第三国」としての参加条件を満たす必要がある可能性を示した。

英政府がブレグジットに際しQ&Aを公表

ホライズン2020は2014~2020年の7年間、770億ユーロを研究開発資金に充てるEUの枠組みで、EU加盟国のほか、スイスやイスラエルなど16国・地域が「アソシエート(準加盟国)」として、また日本や米国などが第三国として参加している。政府のQ&Aによると、英国とEUが離脱協定に合意した場合、離脱協定案(2018年3月時点)にホライズン2020および欧州原子力共同体(ユーラトム)研究・訓練プログラムへの英国の継続参加が規定されていることから、英国の企業や大学などはブレグジット後も引き続きEU加盟国と同条件で参加することができる。他方、ブレグジットに関する合意がされないノー・ディール時には、英国の参加条件は第三国としての条件を満たす必要がある、とする。EU側も、英国からのプログラム参加者は、研究開発資金の助成期間中に英国がノー・ディールでEUを離脱した場合、その時点で助成資格を失うとしている。

ホライズン2020の後継となるEUの次期(2021~2027年)研究開発プログラム「ホライズン・ヨーロッパ」への参加について、英国はEUとの将来関係に関する白書(2018年7月13日記事参照)で、一定の予算負担を行い準加盟国としての参加を求めている。EU側も、EUと英国が科学・イノベーション分野でこれまで培った関係を維持することはとても重要で、第三国にも広く門戸を開くとしている。

欧州委員会によると、ホライズン2020の2014~2016年の3年間の利用実績では、英国が全資金の15.2%とドイツに次いで2番目に多い助成を受け取り、プログラムへの申請数と参加者数はともに全加盟国中トップでそれぞれ全体の12.4%、12.8%だった。

(鵜澤聡)

(英国)

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