政府が国家輸出戦略、輸出産業のビジネス環境改善図る

(スリランカ)

コロンボ発

2018年08月07日

スリランカ政府は7月19日、2018年から2022年までの国家輸出戦略(National Export Strategy:NES)(注)を発表した。これにより、2017年に103億ドルだった輸出額を、2022年までに280億ドルに引き上げるという政府目標を達成するための道筋が示された。サマラウィクラマ開発戦略・国際貿易相は会見で、「NESは輸出と対内直接投資(FDI)による民間主導の経済成長に向けた取り組みをさらに加速させるものだ」と述べ、高付加価値製品の製造やブランディング、ラベル表示など、グローバル市場での同国製品の差別化を図ることで輸出競争力を高めていく方針を説明した。

官民双方の関係者の協力を得て作成されたNESでは、「イノベーションと投資による輸出ハブ化」をビジョンに据え、4つの戦略目標(輸出に係る政策や規制の整備など)、6つの重点分野(造船や電気電子など)を定めている。また、研究開発(R&D)拠点の設立や物流などのビジネス環境改善を進めることが示されており、進出日系企業にも恩恵が及ぶことが期待される。

スリランカは、GDPに占める輸出額(2016年)が12.3%(表参照)と低水準にあり、2017年の貿易収支は96億ドルの赤字になっている。シリセナ政権は、輸出牽引型の経済成長を実現すべく他国との通商環境の整備に取り組んでおり、NESは国内の輸出環境を整える狙いがあるとみられる。

表 各国の名目GDPに占める輸出額(2016年)

(注)NESの原本PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を参照。

(井上元太、ウィラコーン・スバーシニ)

(スリランカ)

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