「新小売り」として注目の無人店舗展示会が開催

(中国)

上海発

2018年08月29日

上海新国際博覧中心で8月15~17日、「中国無人小売り大会」が開催された。同大会は中国百貨商業協会などが主催する展示会で、2017年9月に続く2回目の開催となった。出展者数は約400社、出展面積は3万6,000平方メートル超と、前年の185社、約1万5,000平方メートルから大きく拡大し、この市場でのビジネスチャンスを目指す多くの出展者と来場者でにぎわった。

出展物の中心は自動販売機で、通常の飲料販売機やコーヒーメーカーのほか、「CITY BOX」(魔盒)などに代表される冷蔵ケースとRFID(無線ICタグ)や重量センサー、カメラなどを組み合わせたスマート自動販売機、「BINGO BOX」(濱果盒子)などに代表されるコンテナ型の無人店舗も数多く見られた。そのほか、無人カクテルバーといったユニークな製品もあった。日系企業では、富士電機の現地子会社で大連に本社を構える富士冰山集団が大規模に出展し、多様な製品とサービスを紹介した。

写真 コンテナ型の無人店舗(ジェトロ撮影)
写真 富士冰山集団の出展ブース(ジェトロ撮影)

無人小売り販売の急速な発展の背景には、スマートフォン決済の普及がある。中国インターネット情報センター(CNNIC)によると、2018年6月末時点でスマートフォン決済のサービス利用者は5億6,608万人と、ネットユーザー全体の71.9%に上る。会場内でも微信支付(ウィーチャットペイ)が出展し、顔認証決済など最新のサービスを紹介した。

写真 会場内の様子(ジェトロ撮影)

民間調査会社の艾瑞諮詢(iResearch)によると、2017年の無人小売りの市場規模は少なく見積もって200億元(約3,200億円、1元=約16円)で、2020年には650億元を突破すると見込まれている。ただし、現状では多くの企業がこの市場に競って参入しているものの、成功を収めている企業は少ないとみられる。今後の市場の発展の中で、決済情報によるビッグデータの活用なども通じて、いかに消費者が満足するサービス、ソリューション、製品を提供できるかがカギとなりそうだ。次回の同大会は、2019年8月8~10日に開催される予定。

(小栗道明)

(中国)

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