2017年の対内直接投資は6割増、3年連続拡大

(イスラエル)

テルアビブ発

2018年08月17日

国連貿易開発会議(UNCTAD)の2018年版世界投資報告(World Investment Report)によると、2017年のイスラエルへの対内直接投資(国際収支ベース、ネット、フロー)は189億5,400万ドルで、前年比59.2%増加した(表1参照)。2015年以降は100億ドルを超え、3年連続で拡大している。

中東主要国の中では、トルコ、アラブ首長国連邦(UAE)(それぞれ約100億ドル強)、エジプト(74億ドル)、サウジアラビア(14億ドル)を大きく上回っている(表2参照)。

一方、2017年の対外直接投資は前年比52.0%減の62億7,500万ドルと大きく減少したものの、中東主要国ではUAEの140億ドルに次ぐ規模だった(表3参照)。

表1 イスラエルの直接投資額の推移
表2 中東主要国の対内直接投資額の推移
表3 中東主要国の対外直接投資額の推移

イスラエルは「先進技術大国」とされ、国内に多国籍企業の研究開発拠点が300以上ある。買収したイスラエル企業を自社の研究開発拠点をとする事例が多い。

外国企業による2017年の主な対内投資案件としては、米国のインテルによるモービルアイ買収(153億ドル)、田辺三菱製薬によるニューロダーム買収(11億ドル)が、10億ドルを超えるメガディールとなった。ニューロダームはパーキンソン病治療薬の開発を得意とし、新たな製剤研究や医薬品と医療器具(デバイス)とを組み合わせた技術開発力を有する。

このほか、オーストラリアの大手カジノ機器メーカーのアリストクラート(Aristocrat)がモバイルゲーム開発のプラリウム(Plarium Global)を5億ドルで買収し、2017年10月に完全子会社化した。また、ドイツ自動車部品メーカー大手のコンチネンタルが車両用サイバーセキュリティー強化のため、アルグスを4億3,000万ドルで買収すると2017年11月に発表している。

(余田知弘)

(イスラエル)

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